運用を考えるための練習問題6

「当ファンドは投資銘柄数を30に絞っています」という運用方針について、簡単に評価せよ。

解答例

 幼稚、ないしは横着、あるいは愚かだ。仮に、いい銘柄が100あれば、100使って適切に分散投資すればポートフォリオには改善の余地がある。運用上30銘柄という制限は、余計な制約でしかない。

練習問題7

 平均的な銘柄の期待リターンを6%と考えるときに、平均を10%上回ると予想した銘柄の期待リターンを16%だと考えてポートフォリオを作っていいか。

解答例

 自分の予想の信頼度が100%ということはあり得ないので、不適切だ。

練習問題8

 ファンドの売買回転率に上限の制限を設けることの、長所と短所を一つずつ挙げよ。

解答例

 意図的なものも含めて過剰売買によるパフォーマンス悪化を制限できる場合があることが長所。他方、リターンとコストを考えてもポートフォリオ改善のチャンスがある場合の制約になりかねないことが短所。

練習問題9

 3,000万円の運用資金を持っていて、1,200万円株式に投資しようと考えている個人投資家がいて、毎月100万円ずつ1年かけて、ドルコスト平均法で株式を買い付けようとしているとする。彼に、どうアドバイスすべきか。

解答例

「あなたの場合、ドルコスト平均法は、気休めにしかなりません。むしろ、有害です」が正しいアドバイス。機会損失があること、売買コストと手間が余計にかかることが明らかなマイナス点。「最適な組み入れ状態」を速やかに作るべき。

練習問題10

「当基金は、10年満期の日本国債にのみ投資していて、原則として満期まで保有するので、時価評価は不要だ」と言っている年金運用担当者がいるとする。彼の考えは適切か。

解答例

「満期まで保有する」という方針は運用判断の放棄であり、不適切なおかつ無責任。国債といえども、買うときには、利回りの適否を考えているはずであり、保有期間中に利回りを無視するのはおかしい。