運用を考えるための練習問題

練習問題1

「私は、銘柄選択に注力するアクティブ・マネージャーなので、ポートフォリオのリスクに関する定量的な把握は必要ない」という言い分は、どこがおかしいか指摘せよ。

解答例

 彼は、投資銘柄を選ぶだけではなく、その銘柄に投資するウェイトを決めなければならないが、ウェイトは、期待リターンとリスクの両方を考慮しないと決められない。リスクを把握しないで運用するのは、いい加減な「山勘運用」にすぎない。

練習問題2

「このファンドは、絶対リターンを意識して運用しているので、ベンチマークはありません」という運用会社の言い分に対して、運用会社に委託する年金基金の立場を説明してください。

解答例

「絶対リターン運用とは、現金(リスクフリー資産)をベンチマークとしている運用といえるが、運用の中身をベンチマークで表現してくれないと、当基金としてどのようなリスク状態、運用状態になっているのか把握できないから、貴社を採用することは、当基金としてあまりに無責任で、できることではない」

練習問題3

「リターンの差によって、資産クラス間のバランスが崩れるので、1年に一度、リバランスを行って、元のウェイトに戻す」という運用方針の問題点を二つ指摘せよ。

解答例

 物事が1年単位で都合良く変わるとは限らない。1年単位は、運用者側の都合であり、横着だ。また、将来、元のウェイトに戻すことが適切とは限らない。将来のウェイトは将来時点のリスクとリターンで考えるべきだ。

練習問題4

「投資銘柄全てに対して、目標となる利食い・損切りの株価を決めて、これを厳守しています」という運用方針は正しいか。理由を挙げて答えよ。

解答例

 自分の「買値」は過去の話で将来のリターン・リスクに影響する要因ではない。過去買値に影響されて売買を決めるのは、不適切だ。

練習問題5

「ポートフォリオの投資銘柄は、運用期間が長期化するほど増える傾向にあるのは普通のことだ」というファンドマネージャーの言い分は正しいか。

解答例

 正しい(売買コスト付きでポートフォリオのシミュレーションをしてみると分かる)。