値上がり率ランキング(5銘柄)

1 日本ユピカ(7891・ジャスダック)

 TOB価格へのサヤ寄せによる上昇で値上がり率トップに。TOB価格が時価より高かったこと、地合い悪化でその他銘柄の上昇率が低かったことが重なりました。同社は化学品大手の三菱ガス化学の持分法子会社でしたが、三菱ガス化学によるTOBで連結子会社になります。

 発表のあった5日は、同社の決算発表タイミング。決算と併せて発表されたTOB価格は3,000円と、5日終値2,051円より約5割高い値段でした。足元で国内企業の事業再編が増えていたこともあり、TOBを先回って動いていた投資家もいたようです(発表のあった5日にストップ高していた)。なお、買付期間は3月23日まで、買付予定株数に上限は設けられていません。

2 Amazia(4424・東証マザーズ)

 2018年12月の上場から約1年経過していますが、セカンダリーでの超絶高パフォーマンスによる需給の良さに加え、業績&材料&テーマ性で逆行高しました。6日に発表した第1四半期決算では、マンガアプリ「マンガBANG!」の好調で売上高が前年同期比2.9倍、営業利益が同3.9倍に。営業利益は第1四半期にして上期予想を超えており、上方修正確実との見方につながりました。これが業績。

 材料は、14日に発表した3月末時点の株主に対する株式2分割。そしてテーマ性は、この時期に新型コロナウイルスで自粛が広がるなかで、“巣ごもり関連株”とみなされたこと。一部大手証券がまとめた「巣ごもり・在宅勤務から恩恵を受ける可能性がある企業」リストに入っていたことがきっかけでした(そのほかでは東証1部のサイボウズなども)。

3 AI inside(4488・東証マザーズ)

 昨年12月上場のAI関連株のニューカマー。手書き文字をAIで読み取ってデータ化する主力サービス「DX Suite」のクラウド版が伸びています。新規契約数が想定を上回って推移していることで、12日に今期業績予想を上方修正。業績サプライズと成長期待で買われています。2月に株価は40%以上値上がりしたのですが、では誰が主要な買い手だったのでしょうか?

 1月末時点の信用買い残は7万3,500株でしたが、2月末には3万8,900株に大きく減少。短期の個人が売り手に回りながら株価が大きく上がったわけで、買い手は個人以外です。ということは、上昇の原動力は中小型ファンドだった可能性が高いと予想できます。

4 すららNT(3998・東証マザーズ)

 新型コロナウイルスの感染拡大を受け、1月はマスク関連株などに足の速い資金が集まりましたが、2月はそこから離散。その資金が向かったのが、日本で広がった自粛ムードを商機としそうな銘柄でした。

 新型コロナウイルスの影響で小中学校などの休校が相次ぎ、オンライン学習教材などを手掛ける銘柄にも短期マネーが殺到。同社はオンライン学習教材「すらら」を手掛けるため、関連株の真ん中に位置する小型株として人気化しました。

5 第一商品(8746・ジャスダック)

 新型コロナウイルスの感染拡大で、商品先物会社の株も一斉高しました。新型コロナショックで急激に広がったリスク回避により、米国商品市場で金先物が買われたことが経路に。およそ7年ぶりの高値を金先物が付けたことで、金取引の需要が増えるとの連想から人気化。

 金先物も高値圏で乱高下しています。金の価格が安定的に上がり続けなくても、ボラティリティが高まるほうが商品先物の売買活性化にはつながるかもしれません。