1998年の教訓とは?

 実はこのような状況は1998年にも起こりました。

 あの当時はタイのバーツ危機に端を発したアジア通貨危機がありましたし、日本では証券会社や銀行が次々に経営危機にひんし、ロシアはデフォルト(債務不履行)しました。

 当時のFRB議長だったアラン・グリーンスパン氏は「こんなに世界が悪いのに、米国だけが繁栄のオアシスであり続けることはできないだろう。だから世界を救うために利下げする!」と宣言し、利下げを断行しました。

 今回の状況は、当時の状況に酷似していると思います。

株安が誘発する逆資産効果には注意が必要

 新型コロナウイルスが今後、米国の実体経済に与える影響は感染がどれだけ広がるか分からないだけに予測しにくいです。ただ、株式市場が大きく下げたことで、逆資産効果により消費が冷え込むなどの悪影響が予想されます。

 したがってこれ以上、逆資産効果が広がるのを防ぐために利下げするというのは、理屈にかなった処置だと思います。

割高ではない!? 米国株のバリュエーション

 先週の株安により向こう1年の予想EPSに基づいたS&P500株価指数のPER(株価収益率)は16.7倍まで下がってきました。これは過去5年間の平均と全く同じです。つまり米国株は最近の歴史に照らして全然割高ではないのです。

 この適正なバリュエーションが株価の下支えになると思います。