現時点の米国景気は良いが世界は悪い

 ちなみに米国経済そのものはいまだ新型コロナウイルスの悪影響が経済統計に反映されていません。

 いま2019年第4四半期の決算発表シーズンがちょうど終わったところですが、決算カンファレンスコールで「新型コロナウイルスの影響はどうですか?」という質問を受けた経営陣の大半は「まだ影響は感じられない。どのくらいの悪影響が出るか現時点では予測不可能」とコメントしており、来期、ならびに2020年の売上高やEPS (1株当たり利益)のガイダンスに新型コロナウイルスの影響を含める企業は数えるほどしかありませんでした。

 つまり経済データや企業からのコメントという点では、我々はまだほとんど手がかりがないままに、当てずっぽうの勘を働かせているに過ぎないのです。

 過去に発表された米国のマクロ経済統計はだいたい良い数字であり米国の景気が堅調であることを示しています。従ってバックミラーをのぞく限り、いまここで大胆な利下げをする必要は米国にはありません。

 しかし、海外の情勢に目を転じると、中国経済には急ブレーキがかかっていますし、中国と貿易を通じて密接に関わりのある韓国、日本、東南アジア、オーストラリア、ブラジル、ドイツなどの国々は大きな影響を受けざるを得ない状況です。