米国でインフルエンザの死者が1万2,000人を超える。それでも強い米国株

 武漢発の新型肺炎の死者が1,669人まで増加したことに注目が集まっていますが、米国ではインフルエンザでもっと大きな被害が出ています。CDC(米疫病対策センター)の発表によると、2019~2020年のインフルエンザシーズンで、インフルエンザの感染者が米国では2,200万人、死者は1万2,000人に達しています。単純に死者数だけ比較すると、米国のインフルエンザは、武漢発の新型肺炎の7倍です。

 それでも、インフルエンザの猛威によって、米国経済や米国株が深刻なダメージを受けることは、今のところありません。なぜでしょう? それは、致死率の差と、社会構造の差によります。まず、致死率に以下のような差があります。

ウイルス病の致死率比較

出所:各種資料より楽天証券経済研究所が作成

 米国のインフルエンザは、感染者数・死者数は武漢発の新型肺炎よりもはるかに多いが、それでも致死率は0.05%程度と、相対的に低くなっています。一般のインフルエンザよりやや高い程度で、「恐怖で外出する人がいなくなる」「経済活動が阻害される」というほどの影響が出ません。

 米国では毎年1万人以上が、インフルエンザで死亡しています。2017~2018年のインフルエンザシーズンでは、6万人を超える死者が出たこともありました。貧富の差が大きく、病気になっても医者にかかることができない人が多数いることが社会的な背景にあります。日本のような公的医療保険がないことが、問題となっています。

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