ショック時の市場反応4ステップ

 市場がショックに見舞われる時の反応は、(1)リスク削減、(2)流動性確保、(3)債権国・債務国間圧力、(4)ファンダメンタルズの変化、の4局面に分けて観察します。順に解説します。

(1)    リスク削減

 ショックに見舞われた時、最も敏感なのは、投機や金融関連の債権・債務のうち、そのショックで損失を被ると懸念されるポジションの巻き戻しです。

 1990年代のロシア危機に際して、同国に多額の債権を持つドイツの金融・経済ダメージが最大と懸念され、同国通貨マルクが下落すると臆測されました。しかしマルクは急伸。その背景は、ドイツ勢が対ロシア債権を処分して、マルクを買い戻したためです。このように、ショック時の市場の一次反応をファンダメンタルズへの市場の評価と解釈すると、見誤ることがあります。

 そして、このリスク削減の動きも、さらに2段階に分けて見る必要があります。

 第1段階としてまず動くのは、投機筋などの機動性の高いポジションの即時的な巻き戻しです。ショックに関わる第1報を見た途端に、逆(損失を被ると懸念される側の)ポジションを巻き戻します。これに第2段階として、一般の企業や機関(投資家)のリスク削減が追随すると、さらに市場の反応は大きくなります。

 ただし、もしショックが一過性であれば、いち早くリスク削減をしたこれらの組織の担当者は「無駄に先走りした間抜け」との誹(そし)りを受けかねません。このため、この第2段階は初動が遅れがちで、事態の進展を見てから群衆雪崩の様相を呈することもあります。