中国の輸入量減少による影響は?

図:世界および中国の輸入における品目ごとの金額と中国のシェア(金額ベース)

単位:百万ドル
出所:WTO(世界貿易機関)のデータをもとに筆者作成

 輸入において中国のシェアが高い品目は、農産物における食品以外の品目(家畜のエサなどに用いられる穀物および穀物製品など)、鉱業品(銅や鉄鉱石など)、加工品における集積回路および電子部品(輸出される電子デバイスの内部に用いられる部品)です。

 中国経済が鈍化した場合、中国にこれらの品目を輸出していた国において、モノ余りが起きる可能性があります。

 中国の輸出・輸入の事情を把握し、不安の所在が明らかにしておくことで、不要な懸念を抱くことを防ぐことができます。

“銅の消費は中国が多いため、世界全体の銅の消費が減少する”、“米中で合意した中国の米国産大豆の購入が進まなくなる”という懸念がすでに生じていますが、それがどの程度の量なのかはあまり議論されることはあまりありません。

 事実は事実なのですが、程度の議論を後回しにし、イメージ先行で懸念だけが高まることは、“正しい怖れ方”ではありません。

 懸念の所在と程度を把握することが“正しく怖れる”ことだと筆者は考えます。