新型肺炎拡大が与える中国からの“輸出減少”“輸入減少”を正しく知ることが重要

 新型肺炎拡大により中国経済は悪化する、との見方が大勢を占めています。その場合、具体的にどのようなことが起きると予想できるのでしょうか。

 中国は貿易統計が示すとおり、自給自足で成り立っていません。自国内での生産だけでは足りないものを輸入し、経済規模を大きくするために中国国内で加工した品を他国に輸出しています。輸出と輸入の両輪の上に成り立つ貿易が、中国経済の要であると言えます。

 新型肺炎拡大によって中国経済が打撃を受ければ、経済活動の停滞により輸出量が減少します。同時に消費の減少によって輸入量が減少し、輸出と輸入が同時に減少することが予想されます。

 中国は消費規模の大きさが目立つため、新型肺炎拡大によって中国の輸入量の減少が懸念されがちですが、輸出量の減少も起きる可能性も想定しなければなりません。以下は、WTO(世界貿易機関)のデータをもとに作成した、中国の輸出および輸入における分野ごとの世界シェア上位を示したものです。

図:世界および中国の輸出輸入における分野ごとの金額と中国のシェア(金額ベース)

単位:百万ドル
出所:WTO(世界貿易機関)のデータをもとに筆者作成

 全体的には、中国は、世界全体の輸出額の12.8%を、輸入額の10.8%を占める貿易大国と言えます(2018年時点)。新型肺炎の影響で中国経済が停滞し、輸出も輸入も、ともに減少した場合、世界の貿易が縮小する懸念があります。