今週の見通し

 先週は、ビットコイン[暗号資産]天然ガス[商品]の変動が目立ちましたが、この2銘柄を除いた20銘柄の変動率の平均はおよそ0.5%でした。全体的にはほとんど横ばいだったと言えます。

 横ばいだった銘柄が多かったことについて、筆者は、先述の米中貿易戦争における「第一段階の合意」が、“期待”と“失望”の両方をもたらす内容だったことが主な要因だと考えています。

 この合意では、中国が米国産エネルギーの輸入を拡大することになっていますが、米国産LNG(液化天然ガス)の関税引き下げが行われることにはなっていません。合意内容は、輸入拡大という期待をもたらす要素と、関税据え置きという失望をもたらす要素の両方を含んでいるわけです。

 全体的にも、「第一段階の合意」は評価が分かれました。

 激化した米中貿易戦争が鎮静化に向かう重要な一歩となった、さらなる事態の鎮静化に向けたプロセスが始まった、など、合意に署名がなされたこと自体を好意的に受け止め、今後への期待を膨らませる評価が相次ぎました。

 その一方で、米国が強く懸念している中国が行う自国の特定企業への補助金を廃止することについては、結論が見送られました。期待されたものの、実現しなかったことがきっかけで、かえって失望が生じました。

 このような“期待”と“失望”の両方を生んだ「第一段階の合意」は、市場にとって、上昇・下落、両方の要因となり、その結果、多くの銘柄が小動きとなったと考えられます。

 今後も米中貿易戦争に関し、今回署名された「第一段階の合意」はどの程度履行されるのか? 第二弾の合意はどのような内容でいつ合意に達するのか? など、さまざまな点に注目が集まるとみられ、それらの動向が市場にその都度、影響を及ぼすと考えられます。

 先週17日(金)に公表された中国のGDP(国内総生産)によれば、2019年は前年比+6.1%にとどまり、29年ぶりの低成長となったことが明らかになりましたが、今後も、米中貿易戦争の影響を受ける両国の経済指標に注目が集まります。

 今週の米中両国の主な経済指標は、1月23日(木)の米国の景気先行指標総合指数(12月)、24日(金)の米国の1月製造業およびサービス部門の各PMI(1月)などあります。また、中国は春節のため1月24日(金)から30日(木)まで休場となります。

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