配当利回りの高い、化学株に注目

 配当利回りの高い、大手化学株に投資すべき良いタイミングが来たと考えています。中国の景気が持ち直せば、原油やナフサ、石油化学市況の上昇が期待されます。中国景気悪化による市況下落で業績が悪化し、株価も下落していましたが、中国景気が持ち直し、化学市況も持ち直せば、業績・株価の反発が期待できるようになります。

 大手化学株の株価は、PER(株価収益率)や配当利回りなどの株価指標で見て、きわめて割安と言えるバリュエーションまで低下しています。今期業績は減益の会社が多いですが、今期で業績悪化が止まり、来期に回復する期待が出れば、株価が上昇すると思います。

 まだ、中国景気の底入れを確認できていませんが、配当利回りが高く、PERが10倍を下回る割安化学株は、今、投資を始めて良いと考えています。

 ただし、割安な化学株は何でも買い、というわけではありません。最初に述べたように、日本の化学株は大手でも国際比較で小規模なので、汎用品ではまったく競争力がありません。小粒でもピリリと光るもの、つまり、電子材料、医薬品、農薬、その他スペシャリテイケミカルといった、高付加価値品で高い競争力を有する化学株にしぼって投資すべきと考えています。
具体的には、私は現在、以下3つの高配当化学株に注目しています。

配当利回りの高い化学株:投資の参考銘柄

コード 銘柄名 株価 配当
利回り
PER PBR
4188 三菱ケミカルHD 815.9 4.9 8.8 0.83
4005 住友化学 481.0 4.6 15.7 0.81
4004 昭和電工 2,756.0 4.7 4.4 0.80
※単位 株価:円  配当利回り:%  PER:倍  PBR:倍
出所:配当利回りは、今期1株当たり利益(会社予想)を1月15日株価で割って算出。PERは、1月15日株価を今期1株当たり利益(会社予想)で割って算出。今期とは、三菱ケミカル・住友化学では2020年3月期のこと。昭和電工は2019年12月期のこと、楽天証券経済研究所が作成

  クラレ(3405)(予想配当利回り3.2%、1月15日会社予想ベース)、信越化学(4063)(同1.8%)も化学株として、高い競争力があり高収益体質なので、投資魅力は高いと考えています。ただし、配当利回り4%台が見込める三菱ケミカル、住友化学、昭和電工より、配当利回りでの魅力はやや劣ります。

 旭化成(3407)(予想配当利回り3.0%、1月15日会社予想ベース)も、化学株としての収益力は評価できますが、住宅事業(ヘーベルハウス)の収益が、消費税引き上げ後に低下する可能性があるので、今は投資タイミングが良くないと考えています。

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