レーザーテック

1)新型EUVマスク欠陥検査装置「A150」に従来顧客以外から引き合いがあるもよう

 レーザーテックは、2017年9月にアクティニックEUVパターンマスク欠陥検査装置を複数台、約160億円で受注しました。受注台数、顧客、納期、価格は今も開示されていません(価格は推定で40億円以上)。この製品は7ナノ以上の最先端半導体の製造ラインで使われるEUV露光装置に使うマスクのうち、ペリクル(防塵カバー)付きのマスクの欠陥検査を行うものであり、光源はEUV(極端紫外線)光を使います。

 この製品は、2019年9月にACTIS「A150」と命名されレーザーテックの正式な製品となり、従来顧客(約160億円の発注をした顧客)以外の顧客への受注活動を開始しました。EUVに関連した半導体メーカーなどから引き合いがあるようです。

 レーザーテックはすでにペリクルなしのEUVマスク欠陥検査装置「MATRICS X8ULTRA」を製品化しています(光源はディープUV光を使う)。ペリクル付きマスク用のA150とペリクルなしのMATRICSの2機種が、今後のEUV時代にレーザーテックの主力製品になると思われます。なお、ペリクル付きのEUVマスク欠陥検査装置はレーザーテックが市場シェア100%を得ています。ペリクルなしは競合のKLA-テンコールも製品化していますが、MATRICSのほうが使いやすいため、市場シェアの多くをレーザーテックが獲得しています。

2)長期的な業績拡大の可能性がある。目標株価を6,500円→8,500円(分割後)に引き上げる。

「A150」の納入は今期2020年6月期から始まっていると推定されます。A150は3ナノラインでも使えると思われるため、引き合い、受注は2020年6月期、2021年6月期と続くと予想されます。納期は推定で2年程度と思われるため、2022年6月期も業績続伸が予想されます。

 レーザーテックの売上高の90%以上がロジック半導体メーカー向けです。最先端のロジック半導体では、5ナノの次には3ナノが実現すると思われます。2ナノが実現する可能性もあります。もしそうなれば、ロジック半導体向け設備投資が当分の間切れ目なく続くと思われるため、レーザーテックの当面の業績には過去にあったような半導体サイクル特有の波がなくなる可能性があります。少なくとも2022年6月期または2023年6月期まで増収増益が続く可能性があります。

 今回の目標株価(今後6~12カ月間の目標株価)は、レーザーテックの業績が長期的に拡大する可能性があることに鑑み、2022年6月期の楽天証券予想EPS212.9円に想定PER40倍を当てはめ、8,500円としました。引き続き投資妙味を感じます。

 なお、2019年12月31日付け(実質的には12月30日付け)で1対2の株式分割を実施します。上記のEPS、目標株価は株式分割後のものです。

表6 レーザーテックの業績

株価    5,560円(2019/12/26)(分割前    11,120円(2019/12/26))
発行済み株数    90,178千株
時価総額    501,390百万円(2019/12/26) 
単位:百万円、円
出所:会社資料より楽天証券作成
注1:当期純利益は親会社の所有者に帰属する当期純利益。
注2:発行済み株数は自己株式を除いたもの。
注3:2019年12月31日付けで1対2の株式分割を実施する。上表のEPS、配当は分割後の発行済み株数による。株価は分割前の株価を分割修正したもの。

表7 レーザーテックの売上高内訳:通期ベース

単位:百万円
出所:会社資料より楽天証券作成。

東京エレクトロン、SCREENホールディングス、ディスコ

 東京エレクトロン、SCREENホールディングス、ディスコの3社については、業績予想、今後6~12カ月の目標株価は変更しません。目標株価は、東京エレクトロン3万円、SCREENホールディングス1万1,000円、ディスコ3万円です。

 なお、ディスコのミッドクオーターアップデート(2019年12月10日開催。今3Qの中間報告)によると、ダイサ(回路を描き込んだシリコンウェハをチップの形に切り出す。ディスコが市場シェアの約80%を持っている)の引き合い、出荷が徐々に増加しているもようです。消耗品の出荷も予想を若干上回っているもようです。楽天証券ではディスコの業績を2020年3月期は減益だが、2021年3月期に増益転換すると予想していますが、その方向に向かっていると思われます。

表8 東京エレクトロンの業績

株価    23,955円(2019/12/26)
発行済み株数    157,503千株
時価総額    3,772,984百万円(2019/12/26)
単位:百万円、円
出所:会社資料より楽天証券作成
注1:発行済み株数は自己株式を除いたもの。
注2:当期純利益は親会社株主に帰属する当期純利益。

表9 SCREENホールディングスの業績

株価    7,510 円(2019/12/26)
発行済み株数    46,669千株
時価総額    350,484百万円(2019/12/26)
単位:百万円、円
出所:会社資料より楽天証券作成
注1:当期純利益は親会社株主に帰属する当期純利益。
注2:発行済み株数は自己株式を除いたもの。

表10 ディスコの業績

株価    26,150円(2019/12/26)
発行済み株数    35,930千株
時価総額    939,570百万円(2019/12/26)
単位:百万円、円
出所:会社資料より楽天証券作成
注1:当期純利益は親会社株主に帰属する当期純利益。
注2:発行済み株数は自己株式を除いたもの。

 2019年の楽天証券投資WEEKLYは今回で終わりです。今年1年お読みいただき、ありがとうございました。

 来年2020年もよろしくお願い申し上げます。良いお年をお迎えください。

本レポートに掲載した銘柄:アドバンテスト(6857)レーザーテック(6920)東京エレクトロン(8035)SCREENホールディングス(7735)ディスコ(6146)