2020年のレンジは101.59~111.39円想定

 表1を参考にレンジを想定してみても、やはり10円レンジという想定ができます。前年の終値から翌年の円安幅はこの3年の平均で2.01円。円高幅は3年の平均で7.79円となります。今年の終値が109.38円とすると、来年の高値(円安値)は111.39円、安値(円高値)は101.59円となります。つまり、来年のレンジは101.59~111.39円(値幅9.80円)との想定ができます。

 この考え方は同じような経済金融環境が続くということが前提となります。景気回復が一時的ではなく継続し、米国物価が上昇し、米長期金利が上昇してFRBが利上げ再開という動きに出れば、もっと円安に進む可能性があります。

 反対に景気回復は一時的で、再び低成長、低物価となれば、FRBは休止していた利下げを再開する可能性もあります。そうなれば、ドル安・円高方向に動き、100円に近づくかもしれません。

 また、後退した政治リスクが再燃する可能性もあります。米大統領選挙でトランプ米大統領が苦戦を強いられる戦いになった場合、トランプ大統領は中国に対して再び強気姿勢で臨むかもしれないからです。

 中国だけでなく他国に対しても関税を上げたり、ドルそのものが高過ぎたりすると、トランプ氏はドル高是正を声高に主張し始める可能性があります。英国のEU(欧州連合)との貿易交渉も含め、来年の方が政治リスクは高まるかもしれません。

 また、今年のドル/円相場の終わり方で一つ気になる点があります。

 それはこのまま今年が終わった場合、今年の終値が昨年とほとんど同じような水準で終わるということです。この数年間、前年の終値よりも3~4円の円高で翌年は終えていたのですが、今年はほぼ同水準となりそうです。方向感を示さなかった年ということになり、相場としては仕切り直しとなります。

 実は、2015年も同じようなことが起こっています。前年との終値比が64銭の円安と小さくなり、2012年から続いてきた円安傾向が翌年の2016年から円高傾向に反転しました。同じようなことが今年から来年にかけて起こるのか、ここ数年の円高傾向が終わるのかどうか、点検しながら相場を見る必要があるかもしれません。