12月15日が理論上の期限

 12月のドル/円は11月同様、米中通商協議合意への期待と失望によって上げ下げが予想されますが、今月最大の注目イベントである12月15日の対中関税第4弾の実施予定日までは大きく動きづらいかもしれません。

 12月中旬には10~11日のFOMC(米連邦公開市場委員会)、12日にECB(欧州中央銀行)理事会、12日の英国総選挙、15日の対中関税第4弾発動予定日とイベントが集中しています。

 しかし、FOMCもECBも変更なしとの見方が大勢であり、やはり、注目は15日までに米中協議が合意に達するのかどうか、そして追加関税第4弾は発動されるのかどうかが注目点です。

 12月2日、ロス米商務長官は、「15日が理論上の期限だ」と明言し、15日までに合意できなければ「トランプ大統領は関税を引き上げると明確にしている」と中国をけん制しました。

 つまり、合意に達すれば第4弾の追加関税発動は見送り、合意に達しなければ、実施される可能性が高いということになります。

 さらにもう一つのシナリオが考えられます。

 合意には達しないが協議は決裂でなく継続し、合意時期の先送り、追加関税も延期となる場合です。このコラムを書いていたら、12月3日、トランプ大統領は、「合意の期限はない。来年の大統領選挙まで待ったほうがいいかもしれない」と、正にそのシナリオを述べました。

 しかし、株安、ドル売りとなりましたが、長期戦の構えを見せることで中国側の譲歩を引き出すための揺さぶりであるとの見方が多いため、やはり、15日の結果を見るまではマーケットはそれ以上動きづらいかもしれません。

 現実に合意先延ばし、追加関税発動延期となれば、企業にとっても不透明要因が来年も続くため、新たな投資を手控えることが予想されます。米国景気にとっては悪材料が続くことになります。

 そして重要な点は、いずれの形にしろ、15日までに決着していることが予想され、12日の英国総選挙も含め材料出尽くしから、クリスマス、年末前に利食いやポジション整理が予想されることです。15日以降の月後半は、株式市場や為替市場の調整売りも警戒シナリオとして留意しておく必要がありそうです。延期となれば、来年の景気悪化懸念も加わり、調整売りは大きくなるかもしれません。