日経平均は陰線続きだが、崩れにくさも継続

 先週末11月29日(金)の日経平均株価は2万3,293円で取引を終えました。前週末終値(2万3,112円)からは181円高、週足ベースでは3週ぶりの反発となりました。

 前回のレポートでは「日経平均の値持ちの良さが試される」と書きましたが、無事に株価水準を維持させることができた他、26日(火)の取引時間中には年初来高値を更新する場面も見られました。

 今週から12月相場入りとなり、2019年もいよいよ残り1カ月を切りました。引き続き堅調な展開を続けることができるのか、まずはいつもの通り日足チャートで足元の状況から確認していきます。

■(図1)日経平均(日足)の動き(2019年11月29日取引終了時点)

出所:MARKETSPEEDⅡを元に筆者作成

 あらためて先週の日経平均の値動きをローソク足の形と並び方で追っていくと、週初の25日(月)の「十字線」に始まり、以降は週末まで陰線が続きました。また、並んでいる陰線は2万3,500円の水準が上値の抵抗になっているようにも見えます。確かに11月12日以降に終値ベースでこの2万3,500円台に乗せきれていません。

 さらに、冒頭でも触れた26日(火)の取引時間中につけた高値(2万3,608円)についてですが、11月のオプション・mini先物取引のSQ値(2万3,637円)にわずかに届かず、年初来高値は更新してはいるものの、いまいち「アク抜け感」が出ていない印象です。

 とはいえ、これまで指摘してきたように、相場の「崩れにくい」状況も継続しています。移動平均線との絡みを見ても、週末29日(金)の取引で5日移動平均線を下抜けていますが、すぐ下に25日移動平均線が控えていますので、今週は25日移動平均線をサポートにしつつ、再び5日移動平均線を上抜けできるかが注目されます。

 こうした足元の相場を支えている要因のひとつとして挙げられるのは、米中「第1段階の合意」成立への期待感ですが、反対に上値を重たくしているのも合意成立に対する警戒感となっています。とりわけ、先週は米議会で可決した「香港人権・民主主義法案」にトランプ米大統領が署名をし、正式に成立しましたが、この法案については中国がかねてより「成立すれば報復措置を検討する」などの反発姿勢を示していました。

 そのため、これから発表される中国側からの報復措置がどのようになるかで相場のムードが左右されることになります。措置の内容が合意成立の妨げとなるようなものでなければ、期待感が優勢となって株式市場も上方向を目指すことになりそうですが、逆であれば株価の調整が進むことが考えられます。つまり、最近のもみあいの動きは、さらなる株価上昇の「中段もちあい」なのか、それとも目先の「天井圏の形成」なのかを見極めようとしている局面と言えそうです。

 結果として、中国側の反応が出てくるまでは積極的に動きづらい状況が続くことになりますが、米中関係以外にも、年末商戦への期待や為替の円安傾向などが支援材料になるとの見方も多く、やや楽観的になりやすい状況と考えて良さそうです。