アクティブ運用のハードルは高い

 せっかく効用関数の計算をあれこれとやってみたので、少々寄り道を許して欲しい。 

 同様の計算をすると、例えばアクティブ運用で期待アクティブリターンに対してアクティブリスクのペナルティを持つ効用関数を考えた場合、最適なアクティブリスク量でのアクティブ運用による投資家の効用の増加は、期待アクティブリターンの半分にとどまる。 

 つまり、期待アクティブリターンの半分以上の運用フィーを払ってしまうと、投資家の効用はアクティブ運用を委託することによって、かえってマイナスに変化してしまうのだ。 

 今や、「アクティブ運用がうまくいく」と考える人は減ってきているが、仮にうまくいくとした場合でも、フィーが高すぎると効用が減るので、このような計算からアクティブ運用のフィーの「上限」を求めることができる。 

 この関係を逆に考えると、アクティブ運用のフィーがインデックス運用に対して仮に1.5%高いとした場合、期待されるフィー控除後に投資家が得るアクティブリターンが3%以上なければならない。手数料の高いアクティブ運用にあって、ファンドマネージャーが投資家を満足させることのハードルは相当に高いことが分かる。