値上がり率ランキング(5銘柄)

1 中村超硬(6166・東証マザーズ)

「結局、何だったの?」な急騰株でしたが、きっかけとなる材料を出す前がドン底だった反動もあったのかもしれません。同社は6月末に債務超過に転落したため、上場廃止にかかる猶予期間入り銘柄になったと発表。9月には主力事業だった太陽光パネル部材の加工に使うダイヤモンドワイヤ生産事業から撤退するとも発表していました。

 上場廃止リスクまで意識し、多くの投資家が売った後と見られるタイミングで材料になったのが同社のリリースでした。科学技術振興機構の委託を受け取り組んできた「ゼオライトナノ粒子の製造技術の確立」に成功したと17日に発表。

 これが幅広い用途で活用が期待され、“早期の事業化を目指す”との記載もあったことが短期勢の琴線に触れたんでしょうか。17日終値318円からストップ高を連発し、8営業日後の30日高値2,010円まで…凄すぎますが、結局何だったんでしょうか?

2 霞ヶ関キャピタル(3498・東証マザーズ)

 急騰のきっかけは、11日に発表した本決算発表でした。今20年8月期の純利益が2.3倍になる見通しと発表し、増益率の大きさがサプライズとなって翌日から買い殺到。11日終値3,265円から、23日高値8,130円までの上げは圧巻でしたが…昨年11月のIPOから1年も経過していない(かつバブル的高株価)タイミングでまさかの公募増資(以下PO)を30日に発表。

 合計で発行済み株数の23.7%に相当するPOの実施を発表。その中には、既存株主による22万株の売出も含まれており、株価が想定以上に値上がりしたことで、既存株主が利益確定売りしたかったのでは?とも見えなくもなく…。

3 栄電子(7567・ジャスダック)

 時価総額が極めて小さい、流動性が極めて低い、ジャスダックの低位急騰株によくある組み合わせですが、それにしても驚くほど急騰しました。短期勢の物色対象になるトリガーになったのは「5G(次世代通信規格)関連株」の切り口だったようです。5G普及に向けた投資本格化の恩恵を受けるのでは?の連想が拡散し…。

 なお、この連想で買っていたのは個人投資家ばかりで、かつ信用取引での新規買付がメインだったようです。高値を付けた後で急落した30日に条件を満たし、31日より東証が信用規制をかけました。

4 創通(3711・ジャスダック)

 バンダイナムコHDが9日、持分法適用会社だった創通にTOBを実施し、完全子会社化すると発表。そのTOB価格がサプライズで、9日終値1,868円を約7割上回る1株3,100円!このTOB価格にサヤ寄せした分が10月の値上がり率に相当します。同社が版権管理しているのが、不動の人気アニメ「機動戦士ガンダム」シリーズ。ガンダム40周年のタイミングということもあるのでしょうか、超強力IPを使った戦略を進めるため、バンダイナムコHDが破格のプレミアムを付けた事例になりました。

5 YKT(2693・ジャスダック)

「量子コンピューター関連株」として人気化。この銘柄も栄電子と同じく、時価総額が小さく、流動性が低い、ジャスダックの低位株です。月前半は、ノーベル物理学賞の発表を前に、量子コンピューターを専門分野とする候補者の名前が挙がっていたことで関連銘柄として動意。月後半は、米グーグルが量子コンピューターで最先端のスパコンを超える性能の実証に成功したなる報道で再動意。いずれも、同社にどういう経路がどういう恩恵があるのか、いまだ分からず…。