円安は米中通商協議の結果ではない

 ドル/円は今週に入って108円台後半まで上昇しましたが、これは英国とEU(欧州連合)との離脱交渉の合意への期待から、ポンド、ポンド/円が買われ、ポンド/円の円安に支えられて、ドル/円も円安に動いたようです。つまり、米中通商協議の「合意と利下げ期待後退」によってドル高が進んでいるわけではないようです。合意は部分的合意とはいえ、一部マーケットで好感されていますが、通商協議後に米中両サイドから先行きに不透明感を漂わせる発言や動向が報じられているため、合意文書の署名にはまだ数週間かかることから、この先も状況が変わるかもしれないという不透明感は払拭されていません。そのため無条件で買いを誘うには至っていないようです。

 ポンドの動きにも注意が必要です。EU首脳会議が10月17~18日に控えていることから、数日中に英国とEUは合意に達するのではないかとの期待が急速に高まっていますが、前述した" Buy the rumor, Sell the fact(噂で買って、事実で売る)"がポンド相場で起こるかもしれません。もし、起こった場合、逆の動き、つまり、ポンド安が生じてポンド/円も円高に動き、ドル/円もその円高につられることが予想されるため、警戒しておく必要があります。