素人の難点6:値下がりした銘柄を今後も「ダメな銘柄」だと思う

素人の難点7:値上がりした銘柄を今後も「いい銘柄」だと思う

 注目した銘柄が、値上がりすると好きになり、値下がりすると嫌いになりやすい傾向は、おそらく大多数の人間に共通のものだろう。そして好き嫌いが評価に影響するのも人の常だ。特に、独善的な素人は「自分の好き嫌い」と投資銘柄の先行きに関係があるように「感じる」せいか、「(直近の過去)値上がりしている」=「(今後も)値動きが好ましい」と判断しやすい(この逆も、然り)。

 しかし、例えば、値下がりした銘柄の業績見通しや投資環境に何ら悪材料がない場合、投資判断としては、「同じ業績見通しに対して、以前よりも株価が下がっているのだから、以前よりも一層魅力的になった」と考えるのが、投資の基本的としては正しい。他の条件を一定とすれば、「価格が安い(高い)」=「期待リターンが高い(低い)」と考えるのが大原則だ。

 プロの場合、多少はひねているので、この程度の原則は理解しているような口を利くことが多いが、それでも、値上がりに遅れて買う、あるいは、大きく値下がりしてから売るといった行動を取ることがある。

 それは、ライバルに遅れないために買うとか、値下がりした銘柄を持っていると顧客に対して格好が悪いから売る、といった、ビジネス上の要因によるものだ。「ビジネス上の」というと高級に聞こえるかもしれないが、要は他人に影響されて別の他人(顧客!)の資産を明らかに客観的な投資判断以外の要因で売り買いするのだから、これは、投資行動としては、素人の場合よりもたちが悪いと言えるかもしれない。