素人の難点4:売りを「全部売却」で考える

 個人投資家の場合、投資金額が小さいので仕方がない場合も多いが、質問のケースでは、4銘柄を根こそぎ売ることを前提としており、これも問題だ。

 もちろん、「売った方がいい」という根拠(株価が明確かつ極端に割高だ、など)がはっきりしている場合はまとめて売ってもいいが、もともと買っている銘柄なのだから、こうしたケースは稀(まれ)だ。個人投資家の場合、分散投資が不十分になる可能性があることが大きな制約なのだから、例えば当初の段階で2,000株投資していた銘柄であれば、まず1,000株売って、今まで持っていない銘柄を買う、といった行動が適当な場合が多い。

 プロの場合でも、保有銘柄を根こそぎ売ってしまうのは、ポートフォリオが安定しない下手なファンドマネジャーである場合が多い。

 

素人の難点5:銘柄の傾向(業種など)の偏りを気にしない

 質問のケースでは、10銘柄中値上がり率の高い2銘柄を買い増しするわけだが、これらの2銘柄は同時期により大きく値上がりしているのだから、属する業種が共通であるなど、値動きの傾向が近い(リターンの相関が高い)公算が大きい。値動きの共通性によらない場合であっても、素人投資家は、同じ業種の株、大型有名企業の株、輸出株、内需株、ベンチャー企業の株など、自分の好みの属性を持った銘柄に投資ウェイトが大きく偏る場合がある。

 プロの場合、しばしば顧客や上司に、業種比率などをチェックされるので、素人ほど伸び伸びと自分の好みに偏ることはできないことが多いが、それでも、「僕はエレキ(電気)が好き」とか「私は金融が嫌い」など、投資判断以前に好みの要素が入ってくることはある。