2018年以降の原油先物の動き振り返り

  簡単に過去1年9カ月の原油先物の動きを振り返ります。

WTI原油先物(期近)の動き:2018年12月末~2019年9月16日

 

以下、【1】から【5】までの動きを解説します。

【1】2018年1~9月:上昇トレンド
世界景気が好調であったこと、OPEC諸国の減産が続いていたことから、2018年10月まで原油価格の上昇トレンドが続きました。2018年5月8日、トランプ米大統領が、イラン核合意から離脱し、イランへの経済制裁を再開すると表明したことが、原油先物がさらに上昇する原動力となりました。米国は、11月までにイランからの原油輸入をやめるように一方的に宣言。イランと取引する企業に制裁を課すことを示唆したため、イラン原油の供給減少懸念が強まりました。

【2】2018年10~12月:急落
中国景気の減速が鮮明となり、需要が鈍化する懸念から原油価格は下げ始めました。さらに、11月になってから、米国が、イラン産原油禁輸の「適用除外」に、日本を含む8カ国・地域を指定したことが下落に拍車をかけることに。米シェールオイルの増産が続き、米国の石油在庫が増加してきたことも、売り材料となりました。

【3】2019年1~4月:反発
米中通商交渉が近く合意に達する期待が広がり、貿易戦争で減速している世界景気も回復に向かうとの期待が出ました。それを受け、原油も買い戻されました。

【4】2019年5~6月12日:反落
 再び米中貿易戦争がエスカレートし、世界景気が悪化する不安が強まり、原油価格は反落。米シェールオイルの増産が続いていることも、売り材料となりました。

【5】2019年6月13日~9月16日:反発
中東ホルムズ海峡で6月13日、日本の海運会社が運航する1隻を含む2隻のタンカーが何者かに攻撃を受けて炎上しました。ホルムズ海峡は、世界の原油輸出量の約35%が通過する交通の要衝です。原油供給が不安定化する不安から、一時、ニューヨークのWTI原油先物が急騰しました。ところが、その後、事態は沈静化し、原油価格は反落。ところが9月16日、サウジの石油施設が無人機の攻撃を受け、産油能力の半分が失われたと発表があると、再び、原油先物は急騰しました。