サウジアラビアの産油能力が無人機の攻撃で半減、原油先物が急騰

 世界第2位の産油国サウジアラビア(1位米国、3位ロシア)の石油施設が14日、広域にわたって無人機の攻撃を受け、炎上しました。中東イエメンで活動する武装組織が犯行声明を出したが、真偽は定かでありません。

 サウジアラビア政府は16日、この攻撃により、同国の原油生産量の約半分に当たる日量570万バレルが生産不能になったと発表しました。このニュースを受け、原油供給が不足する懸念が強まり、16日のWTI原油先物は急騰しました。ただし、17日は、サウジ政府が「原油生産能力は月内に元の水準に戻る」との見通しを発表したため、原油先物は反落しました。

 さて、原油先物は中東不安を背景にここからさらに上昇するのでしょうか? 私は、このままどんどん上昇することはないと考えています。その理由は3つあります。

【1】 日米欧先進国に、十分な原油備蓄がある
一時的に供給が減っても、備蓄を放出すれば、数カ月は問題ない。そのうちに、サウジの供給力を回復させることが可能と考えられる(継続的な無人機攻撃がないことが前提)。

【2】供給余力を持つ産油国が多い
現在OPEC(石油輸出国機構)では継続的に減産を実施している。サウジの供給減少をカバーするように増産することは可能。ただし、米国がイラン産原油の禁輸を強めれば、供給不安がさらに高まる可能性はある。

【3】中国需要の伸び鈍化
最大の原油輸入国である中国の景気が悪化し、需要の伸びが抑えられている。