今後のポイントは、中国の宝飾向け消費復活とインド等の排ガス浄化装置向け消費拡大

 プラチナの宝飾向け消費が減少しているのは、中国同消費が減少していることが、大きな要因です。

図:プラチナの国別宝飾向け消費量 

単位:千トロイオンス
出所:WPICのデータをもとに筆者作成

 今後、プラチナの消費量が増加するためには、中国の宝飾向け消費量の復活が欠かせないと筆者は考えています。

 また、排ガス浄化装置向け消費については、以下の図のとおり、欧州はやや減少しているものの、インドを含むその他の地域で増加が目立ち始めています。

図:プラチナの国別排ガス浄化装置向け消費量

単位:千トロイオンス
出所:WPICのデータをもとに筆者作成

 中国の宝飾向け消費の復活、そしてインドを含むその他の国の排ガス浄化装置向け消費のさらなる増加が、今後、プラチナ消費が増加するかどうかのカギを握っていると考えられます。

 長期的な視点では、プラチナ価格は、VW問題による悲観論が根強く、思い切って上値を伸ばせない状況にありながらも、2008年のリーマン・ショック以降の安値圏で底堅く推移しています。

 近年は初回実績値の上方修正がなされ、排ガス浄化装置向け消費は“世界全体として”、徐々に復活の兆しが見えつつあると考えられます。一方、世界全体の宝飾向け消費は、下方修正が続き、当該消費が伸びにくいことが示されています。

 まずは、足元のプラチナ価格の反発はあくまでも、投機筋の買い枚数の増加という短期的な要因によって起きた事象であると認識することが必要であり、その上で、長期的に本格的な上昇トレンドが発生するためには、中国の宝飾向け消費の復活と、インドを含むその他の地域での排ガス浄化装置向け消費の増加が欠かせないと考えます。

 下落要因を抱えながらも、長期的には底堅く推移するプラチナ価格に、長期的な視点で期待したいと思います。