VW問題発覚後に起きたのは、価格下落ではなく“価格低迷”だった

 それではここからは、先週9月6日(金)に世界的なプラチナの調査機関であるWPIC(World Platinum Investment Council)が公表した四半期ベースの統計データから主要項目について確認します。

 長期的なプラチナ価格との関連を見るため、まずは2008年のリーマン・ショック直後以降の、国内外のプラチナ価格の推移を確認します。

図:NYプラチナ先物(中心限月、月足)(2008年1月~2019年9月) 

単位:ドル/トロイオンス
出所:CMEデータをもとに筆者作成

 

図:東京プラチナ先物(期先、月足)(2008年1月~2019年1月)

 

単位:円/グラム
出所:TOCOM(東京商品取引所)のデータをもとに筆者作成

 2008年以降の国内外のプラチナ価格の推移は、おおまかには、リーマン・ショック直後に急落。その後やや反発もするも次第に緩やかな下落傾向に。下落の最中、2015年9月にVW(フォルクスワーゲン)不正問題が発覚。低迷状態に入る。そして先述の足元の反発、という流れでした。

 しばしばVW問題がプラチナ価格を下落させた(させている)という話を耳にしますが、それは正確ではなく、同問題は下落ではなく、低迷させた(させている)という表現が正しいと思います。

 VW問題発覚後、NY市場は低迷しながらも底堅く推移しています。東京市場はドル/円が円高方向に推移したため(2015年9月のドル/円は120円前後)、NY市場よりもやや下振れしてはいるものの、指標となるNY市場が先述の通り底堅く推移していることによって、リーマン・ショック直後の安値水準から底割れすることなく推移しています。