為替DI:年末100円も!? 円高見通しは11年ぶり強さ

楽天証券FXディーリング部 荒地 潤

 楽天DIとは、ドル/円、ユーロ/円、豪ドル/円それぞれの、今後1カ月の相場見通しを指数化したものです。DIがプラスの時は「円の先安」見通し、マイナスの時は「円の先高」見通しを意味します。プラス幅(マイナス幅)が大きいほど、円安(円高)見通しが強まっていることを示しています[図-1]。

[図1]​DIの推移:2018年9月~2019年8月

 今月の楽天DIのアンケート、「9月のドル/円は円安、円高のどちらへ動くと思いますか?」に対して回答していただいた3,539人のうち2,230人が「円高」に動くという予想で、全体の63%を占めました。「円安」予想は584名(16.5%)と最も少なく、それ以外の725名(20.5%)は「現在の106円前後で推移」という回答でした。 [図-2]

ドル/円

 ドル/円のDIは、円安・円高の判断の分岐点を4カ月連続で下回り、▲46.03までマイナスに振れました。円高センチメントがこの水準になったのは2008年10月以来のこと。過去11年間で最も投資家の円高警戒感が強まっていることになります。

 円高の流れが9月も継続してフラッシュクラッシュでつけた今年2019年の安値104円を突破することになれば、年末の100円割れの可能性が高まります。来年の2020年は90円台という大円高時代も現実味を帯びてきます。

 8月のドル/円は、高値が109.31円(8月1日)、安値が104.45円(8月26日)でした。高値と安値の差は4.87円で、高値と安値の50%は106.88円。

 9月のドル/円相場でまず注目したいのがこのレベルです。107円をドル高方向に抜けないかぎり円高トレンド継続と考えます。107円に戻しても、そこから一段円安に向かうには107円台前半でしっかりと値固めが必要でしょう。ちなみにドル/円は8月6日を最後に107円台にのせていません。

 8月は1日の平均値幅が0.94円。7月の値幅0.52円と比較すると倍近い値動きがありました。1日の最大値幅は2.06円で、トランプ米大統領が対中追加関税「第4弾」を発表した8月1日に急落しました。反対に前日比で上げ幅が最も大きかったのは8月13日の1.46円で、この時はトランプ大統領が対中関税発動を延期。9月もマーケットのメインテーマは「米中貿易戦争」になりそうですが、ドル/円のリスクを考えるときは、これらの値幅をひとつの参考にするといいでしょう。

ユーロ/円

 8月のユーロ/円の高値は120.71円(8月1日)、安値は106.56円(8月26日、年初来安値)でした。高値と安値の差は4.15円。高値と安値の50%は118.63円。この水準をブルベア判断の基準にします。

 ユーロ/円は118.65円より下にある限りユーロ安/円高トレンドが続行、118.65円から119円まで戻してはじめてトレンドに変化の兆しありと考えます。

 8月の1日の平均値幅は0.99円。7月の0.54円と比較してほぼ2倍の動きがありました。また1日の最大値幅は8月13日の1.90円で、トランプ大統領が対中関税発動を延期したことを受けてユーロ高/円安に動きました。前日比で最も下げ幅が大きかったのは8月1日の1.47円。突発的なニュースが出た時は、ユーロ/円は上下1.50円から2.00円程度の変動リスクに備える必要があるということです。

豪ドル/円

 8月の豪ドル/円の高値は74.86円(8月1日)、安値は69.94円(8月26日)で、2009年4月以来の10年4カ月ぶりの豪ドル安となりました。高値と安値の差は4.91円。高値と安値の50%は72.40円。

 9月の豪ドル/円相場でまず注目したいのがこのレベルです。72.40円より下にある限り豪ドル安/円高トレンド続行は続行、72.40円以上に戻したらトレンド変化の前兆と考えます。

 8月の1日の平均値幅は0.96円。7月の0.45円と比較して倍以上の動きでした。また1日の最大値幅は8月26日の2.14円で、豪ドル/円が10年ぶり以上の安値をつけた日であり、ドル/円が一時104円台まで下落した日でもあります。前日比で上げ幅が最大だったのは8月13日の1.49円で、トランプ大統領が対中関税発動を延期した時です。