「三大不安」がそろって緩和

 以下の通り、先週は三大不安がそろって緩和しました。ただ、不安は「やや緩和」しただけで、抜本的な解決は何ら見えていません。しばらく不安が「高まったり緩和したり」を繰り返すと考えられます。

【1】米中貿易戦争がエスカレートする不安が「やや緩和」

 米中通商協議が10月初旬に再開されることが決まり、マーケットに安堵感を与えました。もともとは9月にワシントンで閣僚級の米中協議が行われる予定でしたが、9月1日に米国が対中制裁第4弾を発動し、中国も報復関税を発動したため、9月中の協議は絶望視されていました。

 しかし先週、9月の協議を延期して、10月に開催することで米中が合意したことが、安心感につながりました。

 トランプ大統領は、最近しきりに「来年の大統領選で再選が決まったら、もっと厳しい姿勢で中国と対峙する」という発言を繰り返しています。この発言は、裏を返せば、「大統領選が近づいてきたので株安を招く強硬策を取りにくくなりつつある」ことを白状しているようなものでもあります。

 トランプ大統領の支持率は株価の影響を大きく受けるので、最近のトランプ大統領は、「NYダウが上がると中国に対して強硬になり、NYダウが下がると融和姿勢になる」傾向が鮮明です。本音では、中国と一時休戦したがっているように見えます。

 一方、中国サイドでも、景気悪化が長引くと習近平国家主席への批判が強まること、香港民主化デモが過激化しつつあることから、米国と一時休戦するインセンティブは高まっていると考えられます。

 米中の対立に抜本的な解決策はないものの、一時休戦に持っていくインセンティブが双方に高まっている可能性はあります。