相続対策ブームがきているようです。税理士以外にもさまざまな専門家が相続対策のアドバイスをしています。でもちょっと待ってください。「独りよがり」になっていませんか?

ちょっと待て!その財産、子どもは欲しいと思いますか?

 筆者は税理士ですので、相続対策に関するコンサルティングもしています。その際強く思うのが、「独りよがり」になってしまっている方がかなり多い、ということです。

 相続対策のうちの1つが、相続税を軽減させる「相続税対策」と呼ばれるもの。典型的な対策が、借り入れをして不動産を購入するという方法です。

 実は現金を不動産に換えるだけで、相続税を計算する際の財産の評価額が下がり、結果として相続税も減らすことができます。

 そのため、専門家・コンサルタントの後押しもあり、実際に借り入れをしつつ不動産を購入して不動産賃貸を始める人がいます。

 でも、ここで良く考えてみてください。相続が起きたときに財産を受け取るのは子ども、相続税を支払うのも子ども、そして引き継いだ借金を返済するのも子どもなのです。

 ですから、本来は子どもの意見を聞いた上で、相続税対策は実行すべきと筆者は考えています。 もし筆者が親から財産を受け取る立場だったら、多少相続税がかかってもよいから、現金をもらいたいと思います。そして、たとえ相続税がゼロになったとしても、多額の借入金という紐つきの不動産を相続したいとは思いません。