相続税は下がるがリスクは上がるという紛れもない事実

 借り入れをして不動産を購入するという相続税対策は、いわば定番中の定番です。極端な話、「借り入れ+不動産購入」を繰り返せば、相続税をゼロにすることも難しくありません。

 ここで知っておいていただきたいのが、借り入れをして不動産を購入することで、リスクも上がっているということ。

 実際、バブル期も多くの人が借り入れして賃貸アパート・賃貸マンションを建てました。しかし思ったように部屋が埋まらないと、家賃から借入金を返済することができません。そのうちにバブルも崩壊し、結局は不動産を安値で売らざるを得なくなり、借金だけが残った人もいます。

 また、「借り入れ+賃貸不動産購入」の相続税対策は、別名「早死に対策」とも言われます。対策後間もなく亡くなって相続が発生すれば、大きな相続税軽減効果が期待できる一方、長生きすれば賃貸不動産から得られる現金が相続財産として蓄積し、結局は不動産購入による相続税軽減効果は薄まるのです。