急落と急反発は何を暗示している?

 そもそも、18日(木)の下落の要因として、前日の米国株市場が利下げ期待の後退観測で下落していたことや、政治イベント(参議院選挙)や企業決算の見極めによる様子見、為替の円高、米中摩擦の長期化懸念などが挙げられています。

 ただし、これらは新たに登場した材料ではありませんし、想定外の特別な動きがあった訳でもありません。

 また、これまでの株価の反応としては、「一段安でスタートした後にもみ合いの小動きが続く」というパターンが多く、取引時間中も下げ幅を拡大するという展開はあまり見られなかった光景です。

 さらに、翌19日(金)の取引も、自律反発期待以外にコレといった材料がない中で上値を伸ばし、当日の高値圏を維持して終えています。そのため、2日間にわたる荒い値動きに対して「何だか良く分からない」という感想をお持ちの方も多いのではないのでしょうか?

「それを分析するのがお前の仕事だろう」と言われてしまうと返す言葉がないのですが、値動きの理由を追求するよりも、「突如として株価が大きく動く展開が発生したこと」そのものを捉える方が重要で、近いうちに相場に方向感が出てくるかもしれないことを意識しておく必要が出てきたのかもしれません。

 では、この先週の動きは上方向と下方向のどちらを暗示しているのでしょうか? 判断が難しいですが、いくつか状況を整理してみます。

 まずは、先週末19日(金)の大きな陽線についてです。下落基調で現れる大きな陽線は「バケ線」と呼ばれ、下落が続くことが多い形とされています。「相場の流れに大きく逆らう線はかえって一時的になりやすい」という考え方です。

 確かに、19日(金)の陽線は大きく、バケ線となって下落が続いてしまいそうな感じではありますが、前日の18日(木)のローソク足を上回っただけで、2日前の17日(水)には届いていません。

 つまり、19日(金)の陽線はその大きさが示すほど、下落基調に抗っている線にはなっていません。また、先ほども触れたように、終値が3本の移動平均線を上抜けていますので、早い段階で2万1,500円台に乗せることができれば、反対に株価上昇が加速していく展開も考えられます。

 もちろん、今週が続落で始まった場合にはセオリー通り、下方向への意識が強まってしまいます。