「絶好調」の米国株の動きには注意が必要

 とはいえ、注意が必要なのは米国株市場の動きです。 

(図5)NYダウ(日足)の動き(2019年7月5日取引終了時点)

出所:MARKETSPEEDⅡを元に筆者作成

 先週の米国株はNYダウやS&P500などの主要株価指数が史上最高値を更新していて、株価水準的には絶好調です。NYダウは2万7,000ドル台が目前に来ています。日足チャートベースでは目立った売りサインも見られませんし、前回のレポートでも指摘した通り、「株価が75日移動平均線から5%乖離したところまでは上昇が続いてもおかしくはない」という判断も変わっていません。

 ただし、気がかりなのが株価上昇の材料も変わっていないという点です。米中摩擦の長期化による実体経済の悪化懸念がくすぶる中、金融政策のハト派スタンス(FRB[米連邦準備制度理事会]の利下げ期待)が株価上昇のきっかけとなる展開は、今年に入って何度も目にしてきた光景です。いわば「金融相場」の印象が強まってきています。

 さらに、7月の米国でも企業決算の発表シーズンを控えており、その動向次第では相場のシナリオが「金融相場」から「業績相場」にかじを切ってもおかしくはないほか、月末に開催予定のFOMC(米連邦公開市場委員会)では利下げが見込まれていますが、さらなる利下げ期待などが出てこなければいったん材料出尽くしとなる可能性もあります。

 そのため、積極的な上値追いが難しいものの、下値では買いが入りやすく、しばらくは強気の姿勢で大丈夫かと思われますが、心のどこかに「好事魔多し 月に叢雲 花に風」という意識は持っておいた方が良いのかもしれません。