発想とアイデアにあふれるファンド開発

「私が入社した頃は、『eMAXIS』シリーズはすでに広く知られる存在になっていました」

 こう話すのはデジタル・マーケティング部のシニアマネジャー、野尻広明さんだ。
同シリーズが世に出た1年半後の2011年4月に新卒で入社。2年半、リサーチ部門に勤務した後、現在の部署に移り、新商品の企画やマーケティング戦略に携わっている。

 2009年10月、8つのファンドでスタートした「eMAXIS」シリーズは、その後、ラインアップを増やしていった。

 海外株式部門を受賞した「全世界株式インデックス」は2010年7月に、バランス(可変配分)部門を受賞した「バランス(波乗り型)」は2011年10月に追加された。この他、「豪州債券」や「欧州リート」など特定の地域にフォーカスしたものや、「ESG(環境・社会・ガバナンス)」などテーマ型ファンドも発売している。また、2017年2月には業界最低水準の信託報酬を目指す、ネット限定の「eMAXIS Slim」(イーマクシス・スリム)シリーズ、2018年8月には宇宙開発やロボット、遺伝子工学など革新的なテーマに投資する「eMAXIS Neo」(イーマクシス・ネオ)シリーズがスタートしている。

デジタル・マーケティング部シニアマネジャーの野尻広明さん

 野尻さんもすでにいくつかのファンドを立ち上げている。その一つが全国消費者物価指数(生鮮食品を除く総合指数)の動きに連動する「国内物価連動国債インデックス」だ。

「この部署に異動した翌年、物価連動型のインデックスファンドがあれば人気を呼ぶのではないかと考え、上司に『やらせてほしい』と直談判しました。最初はあっさり却下されましたが、確信があったので、いろいろ資料を揃えて、粘り強く説得すると、ようやくGOが出ました。あれはうれしかったですね」

 当時、野尻さんは20代半ばだったが、自らが中心となって商品化を進めた。

「この会社の面接を受けたとき、若い社員が活躍しているという印象を抱きました。そんな会社なら、楽しく働けると思って入社を決めたのですが、実際、その通りでした。仕事を任せてもらえるので、やりがいがあります」

 前出・今井さんは「『eMAXIS』シリーズは若手の力なくして成功はなかった」と話す。

「従来の投資信託と違い、20代から40代の『資産形成層』をメインターゲットとする商品ですから、ファンドの設定においてもマーケティングにおいても若い社員の発想やアイデアが決め手になりました。それに、そもそもこのシリーズは入社3年目の社員の提案から始まっているわけですし。今後も若い人たちにシリーズをけん引してもらいたいと考えています」