プロジェクトF・ファンドの挑戦者
続いて、海外株式部門でeMAXIS 全世界株式インデックス、国内不動産(リート)部門でeMAXIS 国内リートインデックス、海外不動産(リート)部門でeMAXIS 先進国リートインデックス、バランス(可変配分)部門でeMAXIS バランス(波乗り型)が最優秀賞受賞した、eMAXISシリーズの誕生に関わった同社の今井俊輔さんに独占インタビュー。そして、同社のイノベーションの元である若手社員たちのファンドにかける熱い想いを聞きました。
自分たちが本当に欲しいファンドを作ろう!
インデックスファンドは日陰者?
「そんなの無理に決まっているじゃないか」――フロア中に声が響く。
先輩社員にこれから進めることになるインデックスファンドの目標額を聞かれ、とっさに答えた「50億円」。話にならないとばかりに一蹴された。この数字に根拠があったわけではない。反論はできなかった。
「あの頃は50億円なんて絶対無理だろうと誰もが思っていました。それがいまやシリーズ全体の純資産残高は4,000億円を超えます。もしあのとき、無理だと決めつけていたら、このシリーズは生まれなかったかもしれません」
懐かしそうに話すのは、今回、海外株式部門をはじめ、4つの部門で最優秀ファンド賞を獲得した「eMAXIS」(イーマクシス)シリーズの誕生に関わった、現在はデジタル・マーケティング担当部長である今井俊輔さんだ。
「あの頃」というのは、今からおよそ10年前のこと――。
「インデックスファンドをシリーズ化したい」――入社3年目の若手社員から、商品開発部にこんな提案があった。
当時、商品開発部に所属していた今井さんたちは、とりあえず検討を進めた。しかし、社内の多くはこの提案に乗り気ではなかった。というより後ろ向きなムードが漂っていた。
「当時のインデックスファンドは、主力ではありませんでした。1986年から当社ではインデックスファンドを出してはいましたが、せいぜい公募向けでは日経平均株価連動型やTOPIX(東証株価指数)連動型の商品を出しているといった程度でした」
実は、若き提案者はこのときすでに「インデックスファンドをネット証券で販売する」というシナリオを描いていた――ネット販売なら店頭よりコストが抑えられる分、安く販売できる。これまで投資にほぼ無縁だった若い世代にも魅力を感じてもらえるはずだ――。
しかし、当時はまだネット証券でもアクティブファンドが売れ筋上位だった時代。現実味に欠けるという意見が大勢を占めた。