eMAXISを資産運用のセンターポジションに

 そしてついに、同社初のインデックスファンド・シリーズ、「eMAXIS」シリーズが発売となった。2009年10月、最初にリリースされたのは、国内不動産(リート)部門で最優秀ファンド賞を受賞した「国内リートインデックス」、同じく海外不動産(リート)部門で受賞した「先進国リートインデックス」など計8本。国内外の株式、債券、リートなど主要な資産をひと通りラインアップした。

 ちなみに「eMAXIS」の「e」はeコマース(電子商取引)の「e」で、「MAXIS」は「MAX:最大の、最高の」と「AXIS:中心軸」を掛け合わせた造語。人々の資産運用のセンターポジションに高品質のプロダクトを提供するという思いを込めた。

 ただ、今井さんはある懸念を抱いていた。投資信託は全く売れず、姿を消すものも少なくない。何千本と発売されているから当然だが、本当に誰からも見向きもされない「不幸なファンド」があるのも事実だ。みんなで力を合わせて進めたeMAXISシリーズが、まさかその仲間入りをすることはないだろう――それでも今井さんの不安は拭えなかった。

 だが、その不安はすぐに解消される。発売間もなくして、ブロガーやメディア関係者、FP(ファイナンシャル・プランナー)などを招き、このシリーズについて意見を聞く場を設けたときだ。いくつかダメ出しもされたが、ほとんどの人が「いい商品だ」「応援したい」と言ってくれた。その言葉を聞き、今井さんは、近い将来の成功を確信した。事実、その後、「eMAXIS」シリーズは順調に販売額を伸ばし、同社の主力商品へと成長していく。