ドル全面安の展開。トランプリスクは?

 ドルは全面安の様相となっています。イランとの緊張が高まっています。しかし、先週のFOMC(米連邦公開市場委員会)の結果を受けた7月の米利下げ観測が要因としてはまさっている状況のようです。

 ドル/円は、先週107.05円まで下落しましたが、ドル安によってユーロやポンドが反転し、ユーロ/円やポンド/円のクロス円も戻したことにより、ドル/円の下落にブレーキがかかったもようです。このクロス円との連動性は、現在の相場では今後も重要ですので留意しておく必要があります。

 また、心理的には、21日の財務省、金融庁、日銀の緊急会談開催の報道を受けて売り込みづらくなった面もあるようです。しかし、参院選後には日米通商協議が控えているため、1ドル=105円台になっても介入はあり得ないと思われますが、ドル/円反転のきっかけにはなったようです。ただ、ドル/円の戻しには勢いがありません。今後も日本の金融当局は、円高に行けば行くほど、けん制してくることが予想され、相場は一時的に反応する可能性があるため注意が必要です。

 今週に入って、トランプ米大統領は、イランの最高指導者ハメネイ師を対象とした新たな対イラン制裁を発動しました。イランとの緊張激化によってドル/円は107円割れとなりましたが、今週は28~29日のG20(20カ国・地域)大阪サミットが控えていることから、史上最高値を一時上回ったNYダウ平均株価も、105円を目指したがっているドル/円も、様子見の状況となっています。