PER10倍でも「割高」?

 ですので、株価が値下がりしPER10倍になった株を「割安」と判断して買うと、その後は株価が上昇しないどころか、さらにPER9倍、8倍と値下がりを続けていきます。

 そして最後には、会社から業績予想の下方修正が発表され、さらに株価は大きく下がってしまう可能性も十分にあり得るのです。

 PER10倍にまで株価が値下がりしたのは、割安になったのではなく、外国人投資家やプロ投資家が、会社が業績予想の下方修正を発表するかなり以前から、その株の業績悪化などを察知し、売却を進めていた結果なのです。

 念のため申し添えると、株価が割安な水準で放置されているケースも確かにあります。
 しかし、本当に割安なのか、それとも表面上で割安に見えているだけなのかを個人投資家レベルで正確に判断することは難しいかもしれません。

 そのため、株価が値下がりしPERが低下した保有株に対して、個人投資家が手放しで喜ぶというのは早計です。

 そうではなく、外国人投資家や機関投資家はその株を決して割安とは思っていない、だから株価は下落している。この事実から目を背けないようにしましょう。

 次回は、『割安株投資の大きなリスクや、擬似的な割安株を買ってしまわないようにするための対策』など、考えていきたいと思います。