その株、本当に「割安」ですか?

 最も注意したいのが、割安株を「割安」と思っているのが自分だけかもしれない、という点です。

 実は、割安株投資は難しいのではないかと筆者は感じています。なぜなら、一見、株価が割安に見えても、実際はそうではないケースが見受けられるからです。

例えば、こんな状況を考えてみてください。

・ 株価1,500円、EPS(1株当たり当期純利益)が100円のA社株があったとします。
→現時点では、PERは1,500円÷100円=15倍ですから、決して割高ではないものの、かといって割安とはいえません。

・ その後、A社株の株価が1,200円まで下落しました。その一方で企業側は業績の予想を変えていません。するとPERは1,200円÷100円=12倍となり、かなり割安な水準となってきました。
→割安株投資をしている個人投資家は、このようにPERが15倍から12倍になり、かつ企業業績にマイナスの変化がないならば、かなり株価は割安になったとして、このA社株に積極的に投資をしていきます。

・ 株価はさらに下落し1,000円になります。A社の業績の予想に特に変化は見られません。→PERは10倍にまで低下し「さらに割安になった」と買い増しをする個人投資家も少なくありません。

 でも、この投資行動こそが極めてリスクを伴う可能性があることに、一刻も早く気付く必要があります。