米利下げの背景に留意が必要

 6月のFOMCでの利下げシグナル発信、7月FOMCでの利下げが実施されれば、それぞれのタイミングで株は上がるかもしれません。

 しかし、最も留意しなければならないのは、利下げの背景です。

 パウエル議長は貿易摩擦の悪化による経済減速懸念があるため、「適切な行動をとる」と説明しましたが、利下げしたからといって貿易摩擦が解消されるわけではなく、懸念材料として残ります。景気が回復しなければ、追加利下げの期待も高まりますが、株のけん引材料としては限界が見え、さらに株上昇による円安にも限界が出てきます。

 トランプ米大統領は10日、米中貿易摩擦について6月中に米中首脳会談が実現しなければ中国からの全輸入品に関税を課す「第4弾」を直ちに実施すると、米経済専門チャンネルのCNBCのインタビューで答え、中国に揺さぶりをかけています。首脳間で一定の合意に達することは可能だと会談への意欲を示していますが、まだまだ先行き不透明な状況は続きそうです。

 メキシコへの制裁関税についてもトランプ大統領は再発動の警告を発しています。

 7日にメキシコへの制裁関税を無期限延期すると表明したばかりですが、トランプ大統領は10日、「(不法移民対策について)何らかの理由で(メキシコ議会で)承認されないようなことがあれば、関税は再び課される」と、ツイッターで関税再発動の可能性をちらつかせています。