【3】海外生産が当たり前の時代に

 1980年代までの日本の製造業は、日本で生産して海外へ輸出して成長していましたが、円高と貿易摩擦により、輸出主導の成長が不可能になりました。そこで日本企業は、生産を大幅に海外シフトしました。自動車や電機産業で、米国での生産比率が大幅に高まりました。また、中国やアジアで生産して日本に逆輸入したり、欧米に輸出することも増えました。海外生産を軌道に乗せることで、円高や貿易摩擦の影響を受けにくくなりました。

 今、米中、あるいは、米メキシコの貿易摩擦が、中国やメキシコで生産して米国に輸出する日本企業にとって重大なリスクとなりつつあります。それでも日本企業は、海外の生産体制見直しで柔軟に対応していくと考えています。

【4】内需産業の海外進出が軌道に

 かつて、純粋な内需産業と見られていた、小売り、サービス、食品、化粧品トイレタリー、陸運、金融業などで、急速に海外進出が進んでいます。日本の消費関連企業に、消費需要が拡大するアジアで売り上げを伸ばす企業が増えています。

  世界一厳しいと言われる日本の消費者に鍛えられた日本の消費関連企業は、アジアで高い競争力を発揮できています。

【5】ITサービス、AI、IoT、ロボットなどの分野で成長企業が増加

 米国に比べると、日本はIT企業の競争力が弱いが、それでも、年々、ITを活用して、新たなサービスを創造し、成長する企業が増えています。AI(人工知能)、IoT(モノのインターネット化)、ロボットなどの分野でも、成長が期待できる企業が増えています。
 来年の2020年、5G(第5世代移動体通信)が普及すると、生活のすみずみまでAI・IoTを活用したサービスの広がりが加速すると考えています。

 

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