1973年当時、東証一部の平均PERは約13倍で、割安でした。ところがその後、バブル相場で利益を無視して株価急騰が続いたため、バブルのピークだった1989年12月には、平均PERが約60倍に達しました。世界を見渡すと、株価指数のPERはおおむね10~20倍に収まっています。日本株のバブルピークのPERは明らかに高過ぎでした。

 その後、バブル崩壊とともに株価は急落しました。PERも年々低下していきました。今、東証1部の平均PERは約13倍まで下がりました。歴史的に見ても、国際比較でも、割安な水準に戻ったと考えています。

 日本株は、PERだけでなく、配当利回りから見ても割安と考えています。

東証1部配当利回り(加重平均)と長期金利(新発10年もの国債利回り)推移:1993年5月~2019年5月

出所:楽天証券経済研究所が作成

 1993年に長期金利が5%をつけているとき、株の配当利回りは1%もありませんでした。その時は、長期国債の投資魅力が高いが、株は割高でした。今、長期金利がゼロまで下がりましたが、配当利回りは2.6%まで上昇しています。今は、長期国債に投資する価値は無いが、株は投資魅力が高いと判断しています。

平成30年間の構造改革で、格段に投資魅力が高まったと考える

 バブル崩壊の間に実施した構造改革によって、日本株の投資魅力は、以下5点において、32年前よりも、格段に高くなっていると考えています。

【1】財務内容が格段に改善、株主還元が充実

 32年前、日本企業は、バランスシートに多額の借金を抱えていました。バブル崩壊後は、金融機関が巨額の不良資産を抱えました。ところが、その後、日本企業は生き残りをかけて必死に借金返済に努めました。金融、建設、不動産業で破綻企業が多数出ましたが、10年以上かけて、不良債権の処理が進みました。
 現在、日本の上場企業の財務内容は格段に改善し、実質無借金も増えています。財務の余力が増したことで、株主への利益配分(増配や自社株買い)を積極化する企業が増えています。

【2】生き残りをかけた合併・リストラが進展

 バブル期の日本は、同じ産業に多数のプレイヤーがひしめき、慢性的な過当競争状態でした。1998~2005年に、過当競争が慢性化している産業で、業界再編が一気に進みました。戦前から競合してきた名門企業が、生き残りをかけて、次々と合併しました。

 金融、鉄鋼、化学、石油精製、紙パルプ、セメント、小売り、医薬品などで、次々と合併・経営統合が進みました。たとえば、都市銀行13行は、今は、3メガバンクに集約されました。今でも日本企業の過当競争体質は残っていますが、それでも、1998~2005年の合併リストラで、業界集約を進めたことが、収益改善に大きく寄与しているのも事実です。