“トランプ米大統領”は、上昇、下落両方の材料の頂点。減産延長決定への下地作りも

 中東、米中、制裁、減産の4つの材料に、米国の石油産業を含め、それらの主体である“OPECプラス(石油輸出国機構)”と“トランプ米大統領”を軸に分けてみました。

図:足元の原油相場の材料(全体像)

出所:筆者作成

 重要キーワード“中東”については、足元の中東情勢悪化はもともと米国のイラン制裁に端を発している面が強いため、上図の「制裁」の配下に位置付けています。また、投機筋の動向は、原油相場の直接的な上昇、下落の要因ではなく、トレンドを増幅させる要因と考え、記入していません。

“OPECプラス”と“トランプ大統領”を軸として考えれば、おおむね現在の原油相場の材料は網羅できると考えています。

 貿易戦争をけしかけて米中という世界屈指の消費国に影響していること、米国という世界ナンバー1の原油生産国に直接的に影響していること、OPECプラスに対して“原油価格の上昇は増税”というスタンスで大衆を味方にけん制(影響)できることなどを考えれば、トランプ大統領が一歩、OPECプラスよりも原油相場への影響力という点でリードしていると言えます。

 中東情勢や米国の原油在庫など、個別具体的な材料の動向が短期的な値動きの材料になるものの、それらの上には好むと好まざるとに関わらず、トランプ大統領が存在している点に常に注意が必要です。

 そして、トランプ大統領を筆頭とした原油相場の各種材料が交ざりながら、図の下段に記したとおり、6月末で終了するOPECプラスの減産の7月以降について、2018年同様の“限定的な増産を行いながら減産を継続する”ことの下地ができあがっていることが分かります。

 現在は、トランプ大統領がOPECプラスの行く末を決定付けているといっても過言ではありません。