関税がGDPに与える影響

 今回の関税引き上げが米国のGDP(国内総生産)に与える影響は▲0.2%前後だという意見が多いようです。ただし、関税対象となっていない3,250億ドルの輸入品にも関税がかけられた場合、GDPへの影響は▲0.4%になると言われています。

 ちなみに第1四半期GDPは+3.2%でした。つまり関税引き上げがGDPに与えるインパクトは、それほど大きくないのです。

企業業績

 米国はちょうど2019年第1四半期の決算発表シーズンをほぼ終了したところです。EPS(1株当たり利益)成長率は、当初、前年比▲3%が予想されていましたが、ふたを開けてみると、図1のグラフに見られるように±0%でした。つまり予想より良かったのです。

図1:S&P500四半期EPS成長率

単位:%
注:前年比、ボトムアップ方式、ファクトセット

 その半面、第2四半期のEPS成長率の予想は▲0.9%に下がっています。

 つまり、業績変化率の面でのボトムは、これまでの「第1四半期がボトムだ」というシナリオが「第2四半期がボトムになる」というふうに先送りされたのです。

 さらに言えば、このところ貿易戦争の先行きに関し悲観論が台頭してきた関係で、今後の各社の決算ガイダンスはさらに下がるリスクがあります。

経営者のコンフィデンス

 2019年第1四半期決算の各社カンファレンスコールでは「貿易戦争の先行きを心配している」という声はほとんど聞かれませんでした。

 しかし、それは5月4日に米中貿易交渉が暗礁に乗り上げる前の話です。

 次の第2四半期の決算カンファレンスコールでは、この話題が増えることは避けられないでしょう。

 先行きが不透明になっているため、経営者は先行投資を絞り込むという経営判断をする可能性もあります。