4月の売買代金ランキング(5銘柄)

1 オンコリスバイオファーマ(4588・東証マザーズ)
 9日、10日とストップ高買い気配。全株一致した11日には、上場来で最大の出来高2,233万株を記録しました。2,233万株は、同社の発行済み株数(1390万株)の1.6倍…。きっかけは、8日引け後に発表した中外製薬へのがんウイルス療法「テロメライシン」(OBP-301)導出でした。

 ちょうど8日取引時間中に、厚生労働省が「先駆け審査指定制度」の対象品目に指定されたばかりだった「テロメライシン」。これが大手製薬メーカーの中外製薬へライセンス供与し、契約一時金として5億5,000万円の支払いを受けることに。臨床試験で一定の効果が確認されれば、ライセンス契約総額で500億円以上のビッグディールになると…。

 総額の話は置いておいても、サイズ(時価総額)の割に売買をやり過ぎた感じがします。25日移動平均株価は2,700円近辺ですが、ここから4月高値3,765円までの価格帯で買ったシコリ玉は多大で、相当な強材料でも出ない限り、戻り売りに押されがちになるかもしれません。

2 サンバイオ(4592・東証マザーズ)
 サンバイオショックから約2カ月経過した4月は、サンバイオが再び輝き始めた1カ月でした。8日取引時間中に、慢性期外傷性脳損傷を対象とした再生細胞薬「SB623」(以下TBI)が厚生労働省の「先駆け審査指定制度」対象品目に指定されたと発表。この日に底入れ的な動きを示すと、17日から再び急騰。予定されていたイベントでしたが、日本時間17日早朝の米国脳神経外科学会におけるTBIの詳細解析結果の公表も想像以上に好感しました。いずれも、株価の動きほどサプライズある強材料ではなかったと言えますが、他のバイオ株との違いは、決算リスクがないことでしょうか…。10連休明けに決算発表を予定していたバイオ株が多い中、1月決算で3月に決算発表済みということで、決算リスクで売られる不安が小さかったと言えそうです。

3 ロゼッタ(6182・東証マザーズ)
 4月より働き方改革法が施行され、人手不足解消につながる人材関連の中小型株が広く物色された4月相場。RPA関連として3月から人気化していたうえ、4月に発表した決算もポジティブサプライズで株価押し上げの上乗せ材料に。

  12日に発表した前19年2月期は、売上高が前期比45%増の29億円、営業利益は3.38億円に黒字転換。AI(人工知能)を用いた自動翻訳サービスが業績をけん引し、20年2月期については「過去最高の更新を目指す」と最低ラインだけ開示。今期の具体的数字は出ていませんが、決算説明資料では受注高が4.3倍になっていると記載されています。さらに、前期の第4四半期より「急成長期に入った」と。株の特性は「期待で買い、現実で売る」。ひとまず4月は期待で買いのフェーズでした。今後の決算発表(=現実)でさらに驚かせて欲しいですね。

4 ハーモニック(6324・ジャスダック)
 昨年末まで続いた過度な悲観を想定した「空売り」の揺り戻しが年初から継続。4月に入ってからも、5日に付けた年初来高値(4,840円)まで連日で上げ続けていました。4日に観測されたのは、米系証券による投資判断「強気」の再強調レポート。一方で、これまで発表されてきた四半期受注データから、受注の極度な落ち込みは知られていました。15日に発表した19年1-3月期の受注高(単体)も、前年同期比84%減とひどい状況。そのため、株価がバリュエーションを無視して上がると、信用売り残(逆張りの売り)がどんどん溜まります。この分の買戻しを誘発するような売り方不利の踏み上げ商状が続きました。

5 シリコンスタジオ(3907・東証マザーズ)
 3月の月間値上がり率で新興株3位だったシリコンスタジオ。過熱感を帯びた状態で迎えた5日の決算発表。第1四半期決算の経常損益が黒字転換(600万円ですが)したとの内容で、なぜか翌8日もかなり好感されストップ高に。そして、この8日に付けたストップ高の3,245円をピークに、4月終値2,136円まで急激な値下がりとなりました。

  そもそも3月に買われた理由が、米グーグルの提供するゲームプラットフォーム「Stadia」のパートナー企業になったこと。その中にあって、決算後の8日引け後に「第1四半期決算説明資料」を発表。資料の「Stadia」への対応状況のページに、「本件に関連する、売上、費用等は2019年11月期業績予想に織り込み済」と記載していたことが売り材料に…。  

 翌9日に急落スタート。すると、同社はすかさず「一部訂正」をリリース。誤解を招く表現だったとし、「売上については、対応完了を今夏頃に予定しているため、来期(2020年11月期)以降の当社グループ業績に寄与するものと考えておりますが…」などと訂正。一度消滅した株価モメンタムは回復しませんでしたが、株主との対話力の高さには驚かされました…。