今後、投資してみたい金融商品・今後、投資してみたい国(地域)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト 吉田 哲

 今回は、毎月実施している設問「今後、投資してみたい金融商品」および「今後、投資してみたい国(地域)」で、“特になし”と回答したお客様の割合に注目しました。(直近で行われた4月の調査は2019年4月22日~25日に実施)

図:設問「今後、投資してみたい金融商品」および「今後、投資してみたい国(地域)」で、“特になし”と回答したお客様の割合​

出所:楽天DIのデータをもとに筆者作成

 設問「今後、投資してみたい金融商品」と「今後、投資してみたい国(地域)」は、時勢や当社のサービス内容に応じ、選択肢の内容を変更しながら調査が行われています。現在の選択肢は次のとおりです。

 設問「今後、投資してみたい金融商品」は、国内株式、外国株式、投資信託、ETF、REIT、国内債券、海外債券、FX(外国為替証拠金取引)、金やプラチナ地金、金先物取引、原油先物取引、その他の商品先物、特になしの12個、「今後、投資してみたい国(地域)」は、日本、アメリカ、ユーロ圏、オセアニア、中国、ブラジル、ロシア、インド、東南アジア、中南米(ブラジル除く)、東欧、アフリカ、特になしの12個です。

 2016年5月の変更で、それぞれの設問に“特になし”の選択肢が設けられました。上記のグラフは、それぞれの“特になし”を選択した方の割合の推移を示したものです。

 2019年4月22日から25日まで行われた直近の調査において、「今後、投資してみたい金融商品」で“特になし”を選択した人の割合は6.02%、「今後、投資してみたい国(地域)」それぞれ、“特になし”を選択した人の割合は7.53%となり、ともに2016年5月以降の最低水準となりました。(当該設問は複数回答可)

 広範囲を網羅する12個の選択肢から“特になし”を選ぶということは、その時、回答者の間では、積極的に投資を行う気持ちがやや後退している可能性があり、その気持ちの後退が“特になし”の割合を高めていると考えられます。

 グラフのとおり、国民投票でBREXIT決定(2016年6月)、トランプ氏の大統領選当選後(2016年12月~2017年8月)、世界同時株安(2018年10月~12月)などの場面では、“特になし”と回答した人の割合が上昇しました。不確実性が高まっているときは投資を手控えておこう、と思っている人が多かったと考えられます。

 一方、BREXIT決定後の悲観的なムードの後退(2016年7月~11月)、「適温相場」といわれた世界同時株高(2017年9月~10月)、世界同時株安後の世界同時株高(2019年1月~4月)などの場面では、“特になし”と回答した人の割合が低下しました。株価の堅調さに乗り、積極的に投資をしよう、と思っている人の割合が多かったと考えられます。

 全体的には、株価の動向やその時のムードで“特になし”と回答した人の割合が変化していることがわかります。

 4月のアンケート調査は2019年4月22日~25日に行われましたので、5月2週目の株価の下落を反映していません。もし次回の調査(5月下旬予定)の際、今よりも大きく株価が反発していれば、5月上旬の株価の下落は一時的だった、株価は反発している、積極的に投資をしよう、という流れから“特になし”を選択する人の割合は過去最低水準となった先月4月の調査並み(場合によってはさらに低水準)になる可能性があります。

 しかし、株価の下落・低迷が長引いていれば、“特になし”を選択する人の割合が上昇する可能性もあります。

 次回のアンケート結果でも、今回は、毎月実施している設問「今後、投資してみたい金融商品」および「今後、投資してみたい国(地域)」で、“特になし”と回答したお客様の割合に注目していきたいと思います。

表:今後、投資してみたい金融商品 2019年4月調査時点 (複数回答可)​

出所:楽天DIのデータより楽天証券経済研究所作成

表:今後、投資してみたい国(地域) 2019年4月調査時点 (複数回答可)​

出所:楽天DIのデータより楽天証券経済研究所作成

執筆者の連載

●シニアマーケットアナリスト:土信田 雅之テクニカル風林火山
●チーフグローバルストラテジスト:香川 睦3分でわかる!今日の投資戦略」(金曜日)
●FXディーリング部:荒地 潤毎ヨミ!為替Walker
●コモディティアナリスト:吉田 哲週刊コモディティマーケット