今月の質問「ETF(上場投資信託)」

楽天証券経済研究所 チーフグローバルストラテジスト 香川 睦

 今回の楽天DI:4月調査の質問は「ETF(上場投信)について」でした。調査結果を集計すると、「(ETFを)すでに取引している」は全体の約3割(約34%)でした。一方、「関心はあるが、まだ取引してない」(約41%)に「関心がない(知らない)」(約23%)を足した約6割の方々が取引したことがないとのこと。ご存知の方々は、ETFの魅力を「手軽に分散投資できる」、「株式と同様に売買できる」、「投資コストが総じて低い」、「指数連動型でわかりやすい」などとお答えになりました。個人投資家が国際分散投資を進めるにあたり、ETFはもっと注目されて良いと考えています。

【今月の質問1】ETFの取引について教えてください。

出所:楽天DIのデータより楽天証券経済研究

【今月の質問2】:ETFにどのような魅力を感じますか?

出所:楽天DIのデータより楽天証券経済研究所作成

世界市場で成長と普及が進んでいるETF

 ETFとは「上場投資信託(Exchange Traded Fund)」の略称で、取引所に上場されているインデックスファンド(市場連動型ファンド)を総称します。

特徴としては、

  1. わかりやすくシンプルである
  2. 低コストで投資・運用ができる
  3. 手軽に分散投資を実現できる
  4. (株式と同様に)機動的に売買ができる

 点が挙げられる。特に4.は、公募型投信と異なる点です。こうした利便性を背景に、ETFは米国を中心に世界の投資家に普及してきました。

 図表1が示すとおり、2018年12月時点で世界に上場されているETF(あるいはETP=Exchange Traded Product)の運用資産残高は約4兆8,200億ドル(約530兆円)と過去10年で約6倍の規模に成長。上場ファンド総数も7,620本に増加してきました。

 特に米国市場では、日々の売買代金の上位銘柄にETFが常に顔を出すほど取引が活発となっており、機関投資家だけでなく個人投資家も「長期分散投資」のツールとしてETFを活用していることが知られています。

図表1:世界でETF市場は急拡大している

出所:ETFGI(英国調査会社)のデータより楽天証券経済研究所作成

日本でも認知と普及がスタートした

 日本でのETF普及は、世界と比べて遅れてきました。その主因は、ETFの売買手数料が公募投信の販売手数料と比較して低く、公募投信と異なりETFの信託報酬(運用経費)からの配分が得られないため、証券会社がETFを積極的に顧客に紹介してこなかったからと言われています。

 米国では、顧客資産の拡大とコスト抑制を重視した投資助言を基本とするIFA(独立系金融助言業者)は、コスト控除後のリターンが低くなりやすいミューチュアルファンド(日本の追加型公募投信に相当)より、総じて投資コストを抑制できるETFを積極的に活用してきました。

 こうした世界の潮流を受け、日本でもETFが投資対象として認知されつつあります。2001年当時、東証に上場されていたETFは9本のみでしたが、2019年2月時点では約228本に増えてきました。日本銀行が量的金融緩和策として、TOPIX連動型や日経平均連動型のETFを購入してきたことも認知度向上の要因です。ここ数年、東証上場ETFについては、国内の株式指数に連動を目指すETFだけでなく、外国株式、REIT(不動産投信)、外国債券、国際商品などに連動を目指すETFも上場され、個人投資家でも複数のETFを組み合わせることで国際分散投資を簡単に実現できるようになりました。また、東証(JPX)も2018年からマーケットメーカー(指定参加者)と協力して「流動性の改善」に努力しています。今後、ETFを活用する投資が国内でも個人投資家や機関投資家に広まっていくと考えられます。

 参考までに、東証上場ETFのなかで、米国など海外株式のベンチマーク(株価指数)に連動を目指すETFについて、運用総額が10億円以上のファンドに絞り、「年初来騰落率」の降順(高い順)に並べた図表を下記しました(図表2)。

 楽天証券では現在、東証上ETFのうち84銘柄に限り「売買手数料0円(無料)」のサービスを提供しており、下記ETFはすべて手数料が無料となっています(5月8日時点)。国内市場に限らず、海外市場に分散投資できる多種類のETFが低コストで取引可能である点に注目いただきたいと思います。詳しくは「手数料0円ETF」に関する詳細情報ページをご確認ください。

図表2:海外株式に分散投資できるETF(参考例)

出所:Bloombergより楽天証券経済研究所作成(2019/5/6)

*上記はETF取引価格の年初来騰落率で降順に示したものです。
*楽天証券では上記ETFの売買手数料は0円(無料)です。
*上記は参考情報であり、特定のETFを推奨するものではありません。