2019年は2月の大雪で作付けの遅れ、作柄悪化の懸念

 2019年3月29日(金)にUSDAが公表した作付意向面積のレポートに、今年の米国のトウモロコシの主要産地の現状について、以下のような記載があります。

・この冬、エルニーニョ現象による2019年1月下旬から発生した寒波の影響で、米国は過去124年間で最も降水量が多かった。
・大寒波は米国の国土の大部分に影響があったが、断続的に続いた雪・雨は中部と東部で最も深刻だった。
・2月、南中南部と中西部の低い地域の一部で重大な河川の氾濫が発生した。
・大雪は1月下旬以降も続き、3月下旬にコーンベルトの西部で発生した洪水の原因となった。

 このレポートにある「コーンベルト」とは、米国のトウモロコシの主要産地一帯を示す言葉です。具体的な州名は、イリノイ、アイオワ、インディアナ、オハイオ、ミズーリ、ネブラスカ州などです。 今年1月下旬より発生した歴史的な大寒波の影響で、現在の中西部は土壌水分が多い、と読み取れます。

 作付意向面積が公表されましたが、実際にその面積に作付けを行うことができるのか、例年に比べて今年の状況は不安定だと言えます。 作付けは今年の秋に収穫するトウモロコシの量に大きく影響する重要な作業であるため、進捗が芳しくなかった場合、今年の収穫量が予想よりも減少する可能性が生じます。

 USDAは6月上旬まで作付け進捗率を公表します。昨年は6月3日に97%になりましたが、今年の進捗は例年以上に注目が集まりそうです。仮に作付けが行われたとしても、作柄(生育中のトウモロコシの品質)が良好なものになるかも心配な点です。

 トウモロコシの世界No.1の生産国である米国における、生育過程と天候の関係、今年の現状について触れました。状況次第では、価格が上振れする可能性があると見ています。引き続き注目したいと思います。

参考:トウモロコシ価格 2006年1月から2019年4月 (シカゴ先物市場 期近、月足、終値) 

単位:セント/ブッシェル
出所:CMEのデータをもとに筆者作成