ゴールドマン・サックス

 ゴールドマン・サックスは投資銀行です。他のメガバンクのような消費者向けのサービスはほとんど行っていません。ただ、近年になり「マーカス」というブランド名でクレジットカードのコンソリデーションなどの消費者金融のビジネスを実験的に展開し始めています。

 同行は経営陣が交代し、デビット・ソロモンがCEOに就任しています。彼はM&A(企業の合併、買収)アドバイザリーの畑を歩んできた人で、これまでゴールドマン・サックスの経営陣がいずれもコモディティーや債券のトレーディング畑だったのと対照的な人選でした。これは将来、ゴールドマン・サックスがより投資銀行アドバイザリーのビジネスに傾斜した経営をしてゆく表れだと考えることができます。

 実際、同行の投資銀行フィーはJPモルガン・チェースと並んでウォール街トップクラスです。

 2018年第4四半期のROE(株主資本利益率)は12.1%、ROTCE(有形自己資本利益率)は12.8%、CET1 capital ratio(普通株式等Tier1比率)は13.3%、1株当たり有形簿価は196.64ドルでした。

 同行はメガバンクの中で一番、事業ポートフォリオの分散ができておらず、トレーディング環境に業績が振り回されやすい体質となっています。

バンク・オブ・アメリカ

 バンク・オブ・アメリカはリーマン・ショックの際に大きな痛手を受けた銀行のひとつです。ようやくその後遺症から立ち直ってきたと言えます。リテール・バンキングではウエルズファーゴやJPモルガン・チェースに匹敵する大きなネットワークを持っています。

 投資銀行部門はメリルリンチを母体としていますが、将来、メリルリンチの名前は廃し、単にビー・オブ・エーというブランドにすると発表しています。唯一、富裕層向けサービス部門のみ「メリル」という名前を残します。

 同行の投資銀行部門は近年安定感を増してきており、ナンバー4くらいの順位を確保しています。特に債券部が強く、また、比較的業績にムラがないのも同行の投資銀行部門の特徴です。

 2018年第4四半期のROE(株主資本利益率)は11.6%でした。ROTCE(有形自己資本利益率)は16.3%でした。CET1 capital ratio(普通株式等Tier1比率)は11.6%でした。ROA(総資産利益率)は1.24%、1株当たり有形簿価は17.91ドルでした。

 同行は、長短金利差が拡大する局面では、真っ先に恩恵を被る銀行の一つだと思います。