PKSHA Technology

1.個別企業向けアルゴリズムモジュールと、個別業種・業務向けアルゴリズムソフトウェアを手掛ける

 PKSHA Technology(パークシャテクノロジー)の事業は2つに分かれています。一つは、顧客企業のソフトウェアや各種ハードウェア端末向けにAIのアルゴリズムモジュールを組み込む事業です。顧客1社ごとに特注のAIアルゴリズムを開発します。

 もう一つは、特定の業界や業務向けに開発されたアルゴリズムソフトウェアの販売です。現在、CELLOR(セラー。リアル店舗を持つ企業向けのCRM(カスタマー・リレーションシップ・マネジメント)ツール)、BEDORE(べドア。コールセンターやFAQ対応の自動化、半自動化システムで、文章、会話に対応する)、HRUS(ホルス。業種・業務特化型の画像認識システム)の3種類のアルゴリズムソフトウェアを販売しています。

 この3種類のアルゴリズムソフトウェアの中で最も売上高が多いのがBEDOREであり、会社側も拡販しています。BEDOREはテキスト・音声自動応答システムであり、電話による顧客との会話を約30%削減できます。次がHRUSで今後の伸びが期待できます。

 ケースバイケースでアルゴリズム開発の前段階であるビッグデータ分析も行っています。

 

2.顧客はNTTドコモを筆頭に約120社

 顧客は現在約120社であり、多くの顧客向けにアルゴリズムモジュール、アルゴリズムソフトウェアを販売しています。最も売上高が大きいのがNTTドコモ向けです(2018年9月期売上高2億500万円、前年比13.3%増、売上構成比13.7%)。NTTドコモ向けにはECコンシェル(Webサイトに訪問した顧客への接客ソフト。広告で集客した顧客の直帰率や離脱率を改善したり、商品購入等の後押しをすることが可能になる)を共同開発して提供しています。

 それ以外の顧客では、電通、伊藤忠商事、イオン、LINEなど多くの企業との取引があります。複数の自動車メーカーとも取引がある模様ですが、詳細は不明です。業種では、情報通信、サービス向けが多い模様です。

 

3.業績好調

 2019年9月期1Q(2018年10-12月期)は、売上高5億600万円(前年比53.8%増)、営業利益1億6,900万円(同15.8%増)となりました。売上高は引き続き高率の伸びが続いていますが、人材、サーバーへの先行投資を行ったため、営業利益は15.8%増に止まりました。

 2019年9月期通期では会社側は売上高25億円(前年比66.3%増)、営業利益9億円(同51.0%増)と予想しています。また、来期以降も高成長が期待できます。楽天証券では、2020年9月期を売上高40億円(前年比60%増)、営業利益15億円(同66.7%増)と予想します。

 今後6~12カ月の目標株価を7,800円とします。AIアルゴリズム開発の事業が軌道に乗っていること、顧客数が多く、各業種の有力企業が顧客になっていることを評価して、2020年9月期の想定PEGを3倍としました。そして、2020年9月期楽天証券予想営業増益率66.7%増より想定PERを200倍として、同期の楽天証券予想EPS38.9円に当てはめました。中長期の投資妙味を感じます。

 なお、2019年2月28日付けで、1対2の株式分割を行いました。

 

表3 PKSHA Technologyの業績

株価    5,110円
発行済み株数    26,755千株
時価総額    136,718百万円(2019/3/20)
単位:百万円、円    
出所:会社資料より楽天証券作成   
注1:発行済み株数は自己株式を除いたもの
注2:当期純利益は親会社株主に帰属する当期純利益

本レポートに掲載した銘柄:HEROZ(4382)ALBERT(3906)PKSHA Technology(3993)