ALBERT

1.ビッグデータ分析、アルゴリズム開発、システム実装を一気通貫で行う

 ALBERT(アルベルト)の特色は、ビッグデータ分析、AIのアルゴリズム開発、システム実装を一気通貫で行っていることです。そのために、ビッグデータ分析を行うデータサイエンティストを数多く雇っています(2018年12月期末従業員数186名のうちデータサイエンティストは154名)。ビッグデータ分析、アルゴリズム開発、システム実装が各々売上高に占める比率は不明ですが、ビッグデータ分析の比重が大きい模様です。

 2018年12月期の産業別売上構成を見ると、自動車向け15.0%(2017年12月期は9.0%、以下同様)、製造業向け10.0%(4.6%)、通信向け39.4%(16.9%)、流通向け8.2%(26.3%)、金融向け5.1%(1.2%)、その他向け22.3%(42.2%)となっています。

 2018年12月期は、流通向けのレコメンドエンジン(ウェブ上で顧客に商品・サービスを勧めるもの)の提供先を絞ったため、流通向け売上構成比が急低下しました。参入企業が多くなり競争力が低下したという判断からです。その他向けも研究開発で終わるケースが増えたため注力しなくなりました。

 一方で、通信向けはKDDI向けに問い合わせ窓口の自動応答システムやAI開発が増えたため、売上構成比が大きく伸びました。自動車向けも、トヨタ自動車向けに自動運転の走行データのビッグデータ分析、分析したデータをシミュレーターにかけるためのAI開発などが増加しました。金融向けも東京海上日動火災向けに自動運転に使う事故データのビッグデータ分析やリスク診断モデル構築などが増加しました。このため、2018年12月期の売上構成は2017年12月期のそれと大きく異なるものになりました。

 この他、製造業向けでは、FUJI(旧富士機械製造)の多関節ロボット向けに画像解析技術の開発を行っています(ロボットの部品認識機能にAI・ディープラーニング技術を使う)。

 

2.トヨタ自動車、東京海上日動火災、KDDIと資本業務提携

 ALBERTは、2018年5月にトヨタ自動車と資本業務提携を行いました。前述のように自動運転関連のプロジェクトを実行しています。東京海上日動火災とも2018年10月に資本業務提携を行い、トヨタ自動車を交えて自動運転に関連したビッグデータ分析、アルゴリズム開発の技術支援を行っています。KDDIとは2018年12月に資本業務提携を行いましたが、それに先立って2018年に入って前述のようにKDDIとのビジネスが拡大しています。

 また、急増するデータサイエンティスト需要に対応するために、技術人材サービス会社のテクノプロと2017年8月にデータサイエンティスト教育・育成事業での協業を始めました。この課程で育成したデータサイエンティストの中で優秀な人材をALBERTが派遣として受け入れています。

 

3.2018年12月期に黒字転換、2019年12月期は大幅増収増益へ

 旺盛なデータサイエンティスト需要に牽引され、2018年12月期は売上高16億3,000万円(前年比86.9%増)、営業利益2億100万円(前年は1億6,100万円の赤字)と大幅増収、黒字転換となりました。

 今期以降もビッグデータ分析、アルゴリズム開発ともに需要が多く、大幅増収増益が予想されます。特に、2018年にトヨタ自動車、東京海上日動火災、KDDIの3社と資本業務提携を行ったことで、技術力に対する評価と会社に対する信用力が上がり、優良顧客が増えている模様です。

 このため、楽天証券では2019年12月期業績を、会社予想と同じ売上高24億円(前年比47.2%増)、営業利益3億6,000万円(同79.1%増)、2020年12月期を売上高36億円(同50.0%増)、営業利益7億円(同94.4%増)と予想します。

 今後6~12カ月間の目標株価を18,000円とします。現在の2019年12月期予想PERが119.3倍なので、来期も同程度の100倍強のPERが続くと想定しました。中長期の投資妙味を感じます。

表2 ALBERTの業績

株価    11,350円(2019/3/20)
発行済み株数    3,258千株
時価総額    36,978百万円(2019/3/20)
単位:百万円、円    
出所:会社資料より楽天証券作成    
注:発行済み株数は自己株式を除いたもの