OPEC加盟国で減産を実施する11カ国は12月比、大幅削減が必要

 OPECの原油生産量は図8のとおりです。

図8:OPEC全体の原油生産量

単位:千バレル/日量 
出所:OPECのデータより筆者作成

 OPEC全体で見れば、減産基準月である2018年10月以降、生産量が大きく減少しています。しかし、減産に参加する11カ国で見ると大きな減少にはなっていません。

図9:減産に参加するOPEC11カ国の原油生産量 

単位:千バレル/日量 
出所:OPECのデータより筆者作成

 OPEC全体で大幅減少となっていても、減産に参加する11カ国の生産量が減少していないのは、減産に参加しない減産免除となった3カ国(イラン、リビア、ベネズエラ)の生産量が減少していたためです。

図10:OPECの減産免除3カ国の原油生産量 

単位:千バレル/日量
​出所:OPECのデータより筆者作成

 OPECの減産に参加する11カ国は、まさにこれから減産に取り組むことになります。OPEC全体の生産量と、減産に参加する11カ国の生産量を分けて考える必要があります。

また、図11は2017年1月から始まった前回の減産の減産順守率です。

図11:減産参加国全体の減産順守率

出所:OPECのデータより筆者作成

 2018年6月のOPEC総会で、イラン制裁再開による供給減少を補うため、サウジなどは減産順守率100%以上を保つことを条件に増産することを決めました。しかし、昨年11月、減産順守率は98%となり、その決め事を守ることはできませんでした。

 減産監視委員会は、2017年1月から始まった減産における順守率の平均は116%だった、つまり全体としては順守したとしましたが、2018年11月の100%割れは、今後も理由があればOPECプラスは減産合意を破ることがある、ことを示唆するものであると思います。

 OPECプラスが一枚岩でない可能性があること、直近で減産を守らなかった事案が発生したことなど、まだまだ減産においては不安要素があると言えます。

 現在の原油相場は、米シェールの生産増加、OPECプラスの減産への不安といった材料を抱えながら、一部の生産国の政情不安など、断続的に発生するインパクトが持続しにくい上昇要因で価格を維持している状況にあるといえます。

 今週後半から来月の2週目にかけて、海外大手メディアや関連機関がOPECの原油生産量を公表します。目先は、その内容によって、減産が順守できていれば、原油相場は上値を伸ばし、順守できていなければ反落、という展開が予想されます。