これから本格化する10-12月決算では、「業績下方修正」が増えると予想

 1-3月は、世界景気悪化を織り込む局面と考えています。2018年に最初に変調を来たしたのは中国でした。米中貿易戦争の影響で、設備投資に急ブレーキがかかっています。中国に工場を作って欧米に輸出するビジネスモデルが維持できるか疑問符がついたため、中国での設備投資計画を一時凍結する企業も出ています。さらにハイテク戦争の影響で、半導体・電子部品の需要も減速しています。

 米国景気は今のところ好調ですが、2019年1-3月には減速が鮮明になると考えています。米景気が減速局面に入っていることに気づくのは、1月が多いと言えます。10-12月は、クリスマス商戦があり季節的に経済活動が活発なので、景気が減速局面に入っていても気づきにくいからです。季節的に経済活動が停滞する1-3月に、景気が減速局面に入っていることに気づくことが多くなります。

 米中貿易戦争の影響が、米国企業にも出てくる見込みです。米携帯大手アップルや自動車大手フォードは、中国での不買運動が影響し、業績が悪化しています。また、2018年の大型減税効果が一巡するため、1-3月期からは米国企業の増益率が鈍化します。

 こうした環境下、これから本格化する日本企業の10-12月期決算発表では、通期(2019年3月期)業績見通しの下方修正が増えると考えられ、以下のセクターで下方修正が多いと予想されます。

【1】石油精製、石油化学、鉄鋼、非鉄などの素材セクター:原油など資源価格の下落を受け、保有する高値在庫に、在庫評価損が発生すると予想されます。

【2】中国関連株、特に機械・ロボットなど設備投資関連株:中国景気悪化の影響を受けます。

【3】半導体・電子部品:米中ハイテク戦争の影響で、中国通信大手ファーウェイや、米携帯電話大手アップル関連株に悪影響が及ぶ見込みです。

東証一部上場3月期決算、主要841社の純利益(前期比):2016年3月期実績~2019年3月期予想

出所:楽天証券経済研究所

 1-3月に今期(2019年3月期)の業績悪化を織り込み、4月以降、来期(2020年3月期)の業績回復を織り込んで上昇に転じると予想しています。